第15回 マズルカ第16番(4つのマズルカ Op.24より 第3曲 変イ長調)

第15回 マズルカ第16番
4つのマズルカ Op.24 第3曲 変イ長調
56小節の2部形式。この第3曲はOp.24の4曲中で間奏曲(インテルメッツォ)的なキャラクターと言えるような、温和で優しさにあふれたマズールです。 この作品は、12小節が1つの単位となった2つの部分と8小節のオベレク風コーダで成り立っています。冒頭2度繰り返されるA部分では、4度音程を音階的に下行するモチーフ(As-G-F-Es、Des-C-B-Asなど)がI、IV、V、3つのハーモニーだけで支えられます。このように用いられている素材はシンプルですが、モチーフ間には3度、6度、7度、8度などさまざまな音程の跳躍やそれを強調するようなスフォルツァンドとフェルマータが見られ、前半に彩りを添えています。
それに対しB部分では4度音程の下行に半音を織り交ぜ、音色に微妙な変化をもたせています。何か胸騒ぎがする...そんな心理状態を現すかのように、8小節をかけて1オクターヴ間を揺らぎながら下りてゆき平行調であるヘ短調のドミナント(ハ長調のI度)を長く響かせます。バラード第4番やピアノ協奏曲第2番にもこのハーモニーで立ち止まる箇所がありますが、ショパンには哀愁漂うヘ短調ではこうして色のない真っ白な光が差す瞬間が見えるようなのです。このマズルカではそんな恍惚とした顔がすぐに安堵の表情(A部分)に戻り、風のように通り過ぎていくコーダで終わります。
シンプルな楽譜に垣間見るショパンの繊細な表情には、毎回感動を覚えます。

