ピティナ調査・研究

おまけ 友人編 アルカン

ショパン物語
1.アルカン ユダヤ教徒の両親のもとに1813年11月30日に生まれる。6人兄弟だが、兄弟全員、父親の名前をとって「アルカン」と名乗った。兄弟全員、音楽家である。

アルカンは6歳でパリ音楽院に入学、10歳ですでにピアノ科を一等賞で修了、サロンの寵児となり、リスト、そしてショパンと親交を持つようになる。シューマンからは作品を酷評されたが、リストは高く評価していた。リストは、パリに滞在したときには、必ずアルカンのもとを訪ね、その友情は生涯続いたという。

だが、1848年、期待していたパリ音楽院ピアノ科教授になれず、1849年はショパンの死と、アルカンにとって精神的な打撃が続き、失意の日々を送るようになる。やがて居留守を使うほどの人嫌いとなり、曲集の出版はあったが、人前に姿を現さなくなった。

隠遁生活の間、敬虔なユダヤ教徒であったアルカンは、ユダヤ教徒としてはめずらしく、新約聖書の翻訳を試みたり、また「私は聖書のすべてを音楽へと移し変えたい」と語ったこともあるらしい。アルカンの作品には、宗教的題材を扱ったものも多数あるという。1888年3月29日に死去する。
林 倫恵子(はやしりえこ) 漫画家・ピアノ指導。ホームページ