ピティナ調査・研究

第095回 ルクレチア・フロリアニ

ショパン物語
1.ルクレチア・フロリアニ サンドのこの小説は、サンドとショパンをモデルにしたと言われる。小説の登場人物ルクレチア(サンド)は、嫉妬深く狭量なカロル(ショパン)の犠牲になり、死んでしまうという話である。
この小説を書いているとき、サンドはショパンに読んで聞かせた。8月半ばに2週間ほどノアンに滞在したドラクロワも、一緒に聞いていた。ドラクロワは、友人への手紙に「サンドが朗読している間、いたたまれなかった」「しかし、ショパンはその小説を賞賛していた。ショパンは、この小説を理解していなかったのか」というようなことを書いており、ショパンが傷ついている様子はなかったという。が、この小説を読んだショパンとサンドの友人たちのほとんどは「この小説はショパンとサンドをモデルにしている話」「ショパンを中傷している」と思ったという。
林 倫恵子(はやしりえこ) 漫画家・ピアノ指導。ホームページ