ピティナ調査・研究

第069回 初めての不和 その1 

ショパン物語
1.ショパンの怒り ジエール嬢に対するショパンの苛立ちに、サンドも察し、ロジエール嬢に「アントニを連れて来ないほうが良い」と伝えた。
それに対し、ショパンが怒り出し、サンドも困り「彼(ショパン)は気が狂ったのではないか」「彼のような怒りっぽい人に、どうすればよいか分かりません」「疑い深い性格になっていくようです」というような手紙をロジエール嬢に書いている。
ショパンにしてみれば、サンドが「アントニを連れてこないように」と言ったことにより、アントニに悪意をもっていると思われたくなかったのである。アントニは、マリヤ・ヴォジンスカの兄であり、ちょうど、その年の7月末にマリヤがポーランドで結婚することになっていた。そのこともあり、ショパンは、自分のことを悪く受け取られるのではと苛立ち、怒ったのだという。

林 倫恵子(はやしりえこ) 漫画家・ピアノ指導。ホームページ