第4回 ジャズ系:ラグタイムとは?

ジャズは1900年頃、アメリカ南部のニューオリンズで発生したといわれています。アフリカからアメリカに渡った黒人の間に広まっていった音楽(舞踏・音階・複合リズム・コール&レスポンスなど)とヨーロッパの音楽(和声・楽器など)に、即興演奏の要素を加えたものがジャズの原点です。ブルース、ラグタイムなどの音楽を母体とし、デキシーランド・ジャズ→スウィング・ジャズ→ビ・バップ→モード・ジャズ→フリー・ジャズとより自由なスタイルへ発展していきました。
ガーシュウィンはじめクラシックの作曲家たちにも愛された、《エンターテイナー》でもお馴染みの「ラグタイム」。ラグタイムは、テンポよく軽いノリで弾くものが殆どで、聴いても弾いてもとても楽しい気分になってきますね。しかし、そこには当時のアメリカにまだ根強く残っていた人種差別との戦いや苦悩も感じられます。
以下、「ラグタイム」のリズムのルーツと特徴、ピアノ教材などを深掘りしていきましょう。
ラグタイムは、19世紀末〜20世紀初頭、アメリカで大流行した黒人音楽です。
ラグの語源は、従来のクラシック音楽とは違う、ずれたリズム⇒ずれた時間「ragged-time」⇒略して「ragtime」になったという説が有力となっています。
ラグタイムの作曲家兼ピアニストとしては、スコット・ジョプリン(1868〜1917)、ジェームズ・スコット(1886〜1938)、ジョセフ・ラム(1887〜1960)などが、ラグタイム3巨頭としても有名ですが、中でもジョプリンは、「ラグタイムの王」と呼ばれ、このジャンルにおいて多くの作品を残しました。そして、ラグタイムはヨーロッパにも輸出され、盛んに演奏されました。ドビュッシー、サティ、ストラヴィンスキーなども、ラグタイムを取り入れた作品を書いており、中でもドビュッシーの《ゴリウォーグのケークウォーク》は有名ですね。
アメリカ全土


スコット・ジョプリン
1902年にスコット・ジョプリンによって作曲された、ピアノのためのラグタイム曲。後に1973年のアカデミー賞映画『スティング』の主題歌としても使用され、世界的に有名に。
スコット・ジョプリンが1899年に出版したピアノのためのラグタイム。その年だけで7万5千部も売れた彼のヒット作。「メイプル・リーフ」とは、英語で「カエデの葉」のこと。
1 ピアノソロのための音楽。
2 曲の構成は、初期の作品には、ロンド形式が多くみられる。
3 和音(コード)進行は比較的単純。アドリブの要素は少ない。
4 基本のリズムは2/4拍子。右手のメロディーはシンコペーションを多用。左手の伴奏は、マーチのリズム&ストライド奏法。
ラグタイムの最大の特徴である、シンコペーションとは、裏拍(弱拍)と表拍(強拍)をタイで結ぶことにより、強拍の位置をずらし、結果的に裏拍を強調するリズムを指します(後述)。これが後のジャズにも受け継がれ、今日のポピュラー音楽の基本にもなりました。
左手はマーチのキビキビしたリズムで進みます。ストライド奏法とは、Stride(またぐ、またぎ越す)という言葉どおり、ベース(1&3拍)と、その後に続くコード(2&4拍)の距離が広く、この跳躍が、速くなると特に難しい奏法です。


ここで、ピアノ教則本・曲集に出てくるラグタイムを列記しておきます。レベルにより記譜やアレンジも様々ですが、いずれのレベルも、基本的な低音部に対して右手がシンコペーションしているのがよくわかります。この「リズムのずれ」を感じることが、演奏する際の最大のポイントとなります。
CMなどでもよく流れるので、子どもたちも大好きな曲ですね。初版の楽譜には「ジェームズ・ブラウンと彼のマンドリンクラブに捧げる」と記されています。このことから、ソロとトゥッティ(合奏)の部分を想像しながら、レガートとスタッカートのコントラストをつけて、コミカルさを出すのも楽しいですね。前奏も様々な表現が工夫できます(原曲の冒頭を掲載しておきます 譜例3)。
2/4拍子で軽快に進みます。原曲は、右手はオクターブの中に和音を掴むので、シンコペーションを感じながらスピーディーに弾くのは、技術的にも難しくなります。

- 「ピアノ名曲120選 中級編」(音楽之友社)
- 「ジョプリン ピアノ名曲集」(全音楽譜出版社)など
このレベルのアレンジは、メロディーや伴奏のオクターブを6度や単音に変えたり、音価を倍にしたり等、弾きやすくするための工夫がみられます(譜例4)。シンコペーションは、譜例5のように、8分音符で「3つ、3つ、2つ」のリズムパターンとして考えると、スッキリ頭に入ることでしょう。


初級用では、更に音価を倍に記譜してあるので、リズムの感じ方としては、8小節目まで一息で弾くことが大事です(譜例6)。

また、実際のリズムの習得方法、演奏法&指導法についてはeラーニングにて詳しく紹介しておりますので、ぜひこちらも参考にしてください。

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