第8回 石川 芳さん
石川さんのアレンジは、ピアノが華やかに鳴り、弾き映えすると定評がありますよね。
たぶん、響きがオケっぽいからでしょ。オペラの伴奏経験もありますが、そのときはピアノ譜ではなく、オーケストラ・スコアを見ながら演奏していたんですよ。連弾の編曲は、ほとんどオーケストラを扱うのと同じ感覚です。ティンパニの音だったら、指先にマレットが付いているような、ビジュアル的なイメージも音に影響しますよね。
一日に2~3曲という、信じられないスピードで書かれるそうですが、作編曲の手順はどのように行われるのでしょうか?
ホントは企業秘密なんですけど(笑)、まずは音源を聴く時間がものすご~く長いです。聴いてる間に分析しながら、譜分けもしていて、もうその時点で構想は出来ています。そして、各々のレベルのゲージに合わせながら弾く...。全て出来てから書くので、書くときは一切弾かない。私の楽譜原稿は、消しゴムで消した跡が全くない!とよく驚かれるのですが、逆に言うと、消さなきゃならない段階で書いちゃいけない。弾きながら書くと、どんどん厚塗りになっていきますしね。
今回ご紹介いただいた楽譜(「楽譜のご紹介」参照)ように、同じ曲を初・中・上級とレベルを変えてアレンジする際、苦労される点は?
この場合は、中級を最初に書きます。一番汎用性のあるレベルだと思うので、基準を作る意味もあります。上級は青天井ですが、初級が一番難しい!できるコトが限られていますから。「CDと一緒に弾きたい」という要望も多いですが、そうなると♯、♭が脅迫的で、それはイヤと言われるし(笑)、なかなか悩むところです。
ディズニーものは、特にチェックが大変厳しいと聞きますが...
そうですね、本国チェックは厳しいです。ご紹介する楽譜他、全てクリアしているものばかりなので、そういう意味でも、どの曲も内容的に安心して使って頂けますよ。そういえば、きょうお持ちしたオルゴールの「シンギング・バード」ですが、ウォルト・ディズニー氏が、これをヨーロッパでご覧になって、ディズニーランドに"魅惑のチキルーム"を作られたんですって。
きょうは、たくさんの分身(ペンネーム)もいくつか読者にご紹介いただけるとのこと、大変楽しみです!
さきほどの時間の使い方にも関係してくるのですが、一日に何曲も書くとなると、いろいろな人格が必要になるんですね。代表的な分身は、「森乃リコ(もりのりこ)」狸と狐、「羽衣津愛(ういづあい)」withLove、男性的な骨太サウンドは青竹踏みに由来する「麻緒岳典(あさおたけふみ)」、ガンバローって元気系の「厳馬朗(げんまあきら)」等々、名前考えるほうがアレンジよりよっぽど時間がかかってるかも(爆)。学校の時間割のように、「ここからは○○登場」と、曲想に合った分身に完全になりきって書くんですよ。
では、その中の麻緒岳典氏が書かれた、展開2の新課題曲、「ルパン三世のテーマ」のワンポイント・アドバイスをお願いいたします。
この曲は16ビートのリズムが命!途中のBを例に挙げると、ここは2パートの左手の弾き方がポイントです(譜例参照)。言葉をあてはめるのもかなりウケますよ。書き込みも入れておきますので、お試しあれ!
最後に、読者の皆さんに一言お願いできますか?
たとえば連弾アレンジでは、一人で練習していても訳がわからない部分をわざと作っておいて、合わせたときに何が起きるんだろう?という仕掛けも入れておくんです。練習時間も楽しく過ごして欲しいから。レッスンは対個人なので難しいですよね。初級のギリギリのところで頑張っている人が、嫌気がささないように、ピアノを好きでいてもらえるためには、与える曲が大事だと思う。ポピュラーも絶対に品格を下げずに、発表会などでも底力の出る良い曲をぜひいっしょに探していただければと思います。
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ただ、日本の、観光地化した博物館では、ガラスケースの中に大切に収められていて、音を聞かせたり、動かしたりして貰えない処のほうが多いかも・・・
分解している物の、右側、フイゴの右に白い筒があるでしょ。(下写真:クリックで拡大) そこ、ピストンになっていて、複雑な歯車の噛み合わせと同期して引っぱると、その先の笛が、小鳥のさえずりになるのです。
ふいごと、ピストン式の笛、小鳥の羽ばたき、さえずるくちばしの動きも全てコントロールしています。
左側の鳥はスイスのリュージュ社の物。
70万円以上はする豪華な物です。
今でもスイスやドイツで作られています。私の物は銀製の箱に入ったドイツ製の物。
雅楽師の東儀さんも同じところのシンギングバードを持っていらっしゃるようですよ。
現在、ハ長調のダイアトニックスケールは大譜表におさまるヘ音記号のドからト音記号の上加線のラまでの20音の音が出せるオルゴールと、同じドからラまでのクロマティックスケール33音のオルゴールの2種類がありますが、一般に出回っているものは、20音の物のほうで、「オルガニート」という商品名で売られている事が多いようです。
オルゴール博物館の売店や、東急ハンズのギフトのコーナーなどで売られています。
私は、あくまで20音の、音楽的には厳しいなぁっと思うような制限の中で、ハーモニーを色々工夫したり、響きを大切にしながら、極限まで音の数を削ったりする、その苦労が大好きなんですね。
クロマティックだと、勿論、表現の幅、自由度は格段の差があります。でも、それならば、シンセでオルゴール風の音色で・・でも、同じ感じになってしまう。
この「カード式手回しオルゴール」の最大の特長であり魅力でもあるそれは、オルゴールは、製品として完成されたもの(音楽)を聞く・・というイメージがあるのですけれど、これは、自分で作った音楽を、即、聞く事が出来る。
しかも紙に穴をあける・・・っという、とっても易しいアナログな方法で。
これは、世界的に見ても画期的なオルゴールで、日本製である・・という事に誇りを持っても良いくらい、素晴らしい楽器なんですよ。
実を言うと、逆輸入で日本に入って来たらしいのです。
海外で玩具の中に組み込まれたり、教育機材として使われていたりしていて、それを買って、日本に持ち帰ってきたオルゴール愛好家、研究家の方々の努力があって、今、ちょっとしたブームが出来つつある・・・っという事なのだそうです。
私は、そんな事は、まったく知らなかったけど、出会いはホントに偶然、清里で。
でも、運命だったのかもしれません。
手回しオルガンも、同じように、制限が色々あって、その部分を補う場合も、活かす場合も、ある。
それが楽しい !!
手回し・・・っていうところがミソなのかも。
そのうち、有志募って、ペーパー式オルゴールの編曲や、演奏を楽しむ会など、出来たら、なごみそうですね~~