ピティナ調査・研究

こどものためのJAPAN6-2: 発表会で弾きたい全音JAPANピース2

ピアノ曲 MADE IN JAPAN

`発表会で弾きたい全音JAPANピース'をご紹介する特集第2弾の今回は、テレビや雑誌でもお馴染みの作曲家・青島広志氏による、「ビートルズの主題によるソナチネ」です!まずは、どれも魅力的な以下3曲を、どうぞお聴きください。

 
青島広志/ビートルズの主題によるソナチネ/第1楽章イエロー・サブマリン
 
 
青島広志/ビートルズの主題によるソナチネ/第2楽章ミッシェル
 
 
青島広志/ビートルズの主題によるソナチネ/第3楽章オブラディ・オブラダ
 
ビートルズの魅力

全世界が熱狂したイギリスのロック・バンド、ビートルズ...。解散後40年、4人のメンバーのうち2人が亡くなった今も、圧倒的な人気を誇っている歴史的スターですね。素晴らしいメロディーラインとシビレるハーモニー、そして時に意外な転調...。私も中学生の頃にその魅力に開眼し、高校では「ビートルズの会」まで結成して、全身でその音楽を味わったものです。そのビートルズの楽曲の中から、人気曲3曲(「イエロー・サブマリン」、「ミッシェル」、「オブラディ・オブラダ」)をテーマとしたものが、この作品「ビートルズの主題によるソナチネ」です。

「ビートルズの主題によるソナチネ」とは

作曲者・青島広志氏は、'ブルー・アイランド氏'の愛称を持つ、大人気作曲家。テレビや雑誌、書籍などで、そのユーモア溢れる辛口トークを楽しまれている方も多いでしょう。東京芸術大学大学院修了後、最も多くの作品を生み出された1980年代の後半に、この曲は書かれました。「一般の人々が聞いても違和感を感じない穏健な手法」(ご著書「作曲家の発想術」より)をモットーとされている青島先生。作曲家としては異色のそのマルチなご活動から、人々が喜ぶツボを知り尽くされた先生ならではの、サービス精神たっぷりの楽しさが、この「ビートルズの主題によるソナチネ」には溢れています。

この作品の魅力は

まず最初に歌われるテーマが、良く知るビートルズの名曲という時点で、嬉しくなりますね。聞いて楽しんでいたものを、自分で気持ちよく弾けることの楽しさといったら、ありません!またそれが発展して、原曲にはないメロディーやハーモニーが加わることの面白さが、ここにはあります。ソナタ形式による一楽章では、提示部・展開部で発展された「イエローサブマリン」が、再現部で感動的に再登場する嬉しさが、緩徐楽章の二楽章では、もともとウラノリの4ビートだった「ミッシェル」が、その雰囲気を汲んで3拍子で歌い上げられる気持ちよさが、そしてロンド形式の三楽章では、ノリノリな「オブラディ・オブラダ」の間に、ヨハン・シュトラウス「春の声」や、モーツァルト「魔笛」が勢い余って登場してしまう可笑しさが、各々存分に楽しめます。もちろんそれを聴く発表会のお客様方には、大受けすること間違いなし!です。

ソナタ形式を学ぶ

楽譜には、作曲者によって「A」「B」「C」といった練習番号のような記号が付されています。また、それに従った詳しい楽曲解説が冒頭に記されているので、弾いて聴いて楽しむだけではなく、ソナタ(&その簡易版ソナチネ)という音楽様式を学ぶ格好の教材にもなります。この楽譜は、ピースとしては少々お値段がお高い(1冊945円)のですが、それだけの価値は十分にあるように思います。ビートルズを知る世代も知らない世代も、今ではYouTubeなどで手軽にその名曲を聞くチャンスはありますね。時には、そんなクラシック以外への興味も広げつつ、名曲をテーマとするからこそ分かりやすい様式学習を、青島先生ならではの面白可笑しい切り口から味わってみるのも、楽しいですね!

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