ピティナ調査・研究

トイピアノでカーネギー!(YouTubeシンフォニーオーケストラ参加報告)

ピアノ曲 MADE IN JAPAN

去る4月15日、私はYouTubeシンフォニーオーケストラのメンバーとして、ニューヨーク・カーネギーホールにて、トイピアノを演奏してきました!今日はそのご報告と、トイピアノという楽器のご紹介をさせていただきます。

YouTubeシンフォニーオーケストラとは
写真

世界初のビッグ・プロジェクト「YouTubeシンフォニーオーケストラ」は、アメリカのインターネット検索最大手Google(グーグル)が、その世界最大の動画サイト「YouTube」上で企画・主催したものです。(YouTubeオーケストラのページへ)

→プロ・アマ問わず、世界中からメンバーを募集
→応募者は課題曲の演奏姿を録画し、YouTubeに投稿
→世界中の視聴者と世界トップレベルのオーケストラが審査
→選ばれたメンバーはニューヨークに招待され、音楽の殿堂カーネギーホールにて、名指揮者マイケル・ティルソン・トーマスのもとコンサートを行う

というもので、世界約70ヶ国から3000人もの応募があり、結果30ヶ国96名が選ばれました!日本からも、ママさんマリンバ奏者の高藤摩紀さん、IT関連会社研究員でもいらっしゃるオーボエの長田浩一さん、そして私が参加することになりました。

ニューヨークに集って

YouTube上では応募者としてお互いに知っていたものの、会うのも共演するのも初めて、という96名のメンバーたち。中には「国を出たのはこれが初めて」というバミューダ島のヴァイオリンの先生や、英語が全く話せないながらも超明るいラテン系の人々など、本当に様々な人がいました。本番3日前に一同ニューヨークに集合、その翌日から、ジュリアード音楽院とカーネギーホールにて丸2.5日のリハーサル!この間の様子は、公式リポーターとして取材した、以下私のVlogをご覧ください!

いよいよコンサート本番!

そして、いよいよ迎えたコンサート本番。カーネギーホールの客席は、満員のお客様と大勢の報道陣で埋め尽くされました。舞台には世界中から集まった私たちオーケストラ、その背景や天井には様々な映像が(「Google Earth」や参加者のドキュメンタリーなど)!会場全体が、ひとつの壮大なスペクタクルとなり、ものすごい熱気に包まれました!

プログラムは、バロックから現代まで、そしてヨーロッパから南米までと、世界各国の新旧様々な作品を18曲も集めたもので(中にはギル・シャハム(Vn)や、ユジャ・ワン(Pf)など大物ゲストとの共演曲も)、指揮者マイケル・ティルソン・トーマスの曲間のトークもとても面白く、非常にエンターテイメント性の高いものでした。中でもメインは、タン・ドゥン(北京オリンピックの音楽も担当した世界的中国人作曲家)が、このイベントのために作曲した「インターネットシンフォニー第一番・エロイカ」。この作品は、課題曲としてオンラインオーディションで使われたこともあり、メンバーにとっても最も思い入れが深いものでした。その分、本番での一体感には特別なものがあり、素晴らしかったです。

私自身は、学生時代からタン・ドゥンのファンだったこともあり、彼自身の指揮でその初演に参加できることに、感謝感激!タン・ドゥンは、紙や水といった、ちょっと変わった「楽器」をよく使う作曲家としても知られていますが、ピアノではなく敢えてトイピアノで応募した私を選んでいただけたのも、そんな彼と、そして主催者Googleの、常に新しさや面白さを求める精神のもとだったからこそ、と思います。

トイピアノとは

ところでトイピアノとは...そう、子供用おもちゃのピアノです。まずは、私のオーディション用動画で、その音色をお聞きください!

このトイピアノ、実は最近人気を集めています!その口火を切ったのは、我が恩師マーガレット・レン・タンでしょう。ニューヨーク在住シンガポール人ピアニストの彼女は、ジュリアード音楽院でクラシックピアノの博士号を女性で初めて取得した秀才ですが、その後アメリカの偉大な作曲家ジョン・ケージとの出会いから、現代音楽のスペシャリストとしての道を歩みます。

常に新しいコンセプト、そして新しいサウンドを求める現代音楽の世界。その中で出会ったトイピアノに魅せられた彼女は、4年前に「アート・オブ・トイピアノ」というCDとDVDを発売。それを機にトイピアノへの関心が、世界的に一気に高まりました。

トイピアノ・ブーム

トイピアノのために作曲された最初期の音楽として最も有名なのは、先のジョン・ケージがダンス音楽として作曲した「トイピアノのための組曲」(1948)でしょう。

その他にも、例えばMatthew McConnell作曲「トイピアノ協奏曲」(2004)や、

Karlheinz Essl作曲、トイピアノとCDのための「カリンバ」(2005)など...。

 

ですが、もちろん、元来「トイ(おもちゃ)」のトイピアノ。現代音楽の世界に取り入れられるより前から、多くの子どもたち、そして親御さんたちに愛されてきました。ご家族三代(90代のおばあさまと、その娘さんとお孫さん)でトイピアノを楽しまれている、という心温まるお話なども、風の便りに伺ったりしています。

愛らしく美しいその音色、その姿。そしてどんなに指の弱い方でも楽しめる、タッチの優しさ。お値段も平均1万円前後と、お手軽価格!トイピアノには、多くの人々の笑顔を作り出す魅力が備わっています。最近では、世界的にもトイピアノブームが起きているようで、YouTubeには、 約3,000ものトイピアノ動画が、そしてmixiにも約900人のトイピアノコミュニティが!その愛らしさと美しさの奥に、新しい音楽の世界が広がっています!

 

トイピアノについてもっと知りたい方へ


河合楽器製作所(現在日本で唯一のトイピアノメーカー):おもちゃページ
シェーンハット(アメリカの老舗トイピアノメーカー):ホームページ
トイピアノの魅力満載ブログ:トイピア広場