ピティナ調査・研究

エッセイ「和ピアノへの道」2 世にはこんなに音楽が...

ピアノ曲 MADE IN JAPAN
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 思春期まっただなかの18歳で雅楽に恋し、13年間続けてきたピアノから心が離れてしまった私は、その後、東京芸大の楽理科に転がり込みます。楽理科に惹かれた理由はただひとつ。雅楽のビデオを見せてくれた先生が楽理卒だったから。 そこに行けば雅楽や日本音楽のことをもっと深く知れる、と思ったのでした。


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楽理科は、音楽大学にあって唯一「勉強」を実技とする学科です。日本音楽、西洋音楽、民族音楽、音楽理論、音楽美学、音響学、楽器学...。様々な音楽的知識を洪水のように浴びる日々は、ピアノ一筋に歩んできた私にとって実に新鮮でした。「勉強」に加え、雅楽や小鼓、シタールやガムランなど世界の楽器を演奏する授業もあり、毎日が刺激的!世の中にはこんなに色んな音楽があったのか...と目の前がどんどん開ける思いでした。


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もちろん私は、「日本音楽」の授業に一番気合を入れていました。が、民族音楽や音楽理論など、ご自分の専門音楽について目を輝かせながら語る先生方や、各々好きな音楽にのめり込む友人に囲まれて、私自身の「日本音楽」への頑なな想いも徐々に和らいでいったように思います。拒絶していたクラシックも、世界の音楽の一つとして前向きに捉えられるようになり、ピアノ一筋だったそれまでの自分の人生も、少しずつ肯定できるようになってきたのでした。


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今回の音源、松平頼則作曲『盤渉調「越天楽」によるピアノのための主題と変奏』より「変奏1」は、前回の雅楽風「テーマ」を様々に装飾した艶やかな曲です。雅楽命だった自分が、色々な音楽に触れる中で少しずつ柔軟になっていく様を、私は重ねているのですが...。(つづく)

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