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【石黒加須美先生セミナーレポート 第2回】絶対音感を身に付けるには?~ピアノはいつから習い始めると良いのか

石黒加須美先生セミナーレポート 第2回

絶対音感を身に付けるには?~ピアノはいつから習い始めると良いのか

「子どもにピアノを習わせたいけれど、何歳から始められるの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?子どもの発達にあわせて、いつ、どのような教育・経験をしていくのが効果的なのか、前回の『人生に必要な「本番力」の訓練~ピアノで見えない学力を鍛える』に引き続き、石黒加須美先生のお話を一部ご紹介いたします。(『音楽を感じる心を育てる「幼児期の能力開発・正しいピアノの早期教育」』セミナーより:協力/伊藤楽器イトウミュージックサロン船橋)

私のスクールでは、満1歳からグループレッスンでのリトミック、満3歳からピアノの個人レッスンをおこなっています。3歳という時期は、自分で着替えが出来たり、トイレに行くことが出来たりといった、生活面での自立が出来てきますので、レッスンで出来ることも多くなってきます。幼稚園に入り、いつもお母さんと一緒に行動していたのが、ひとりで考え、行動していくようになる時期でもありますね。
この時期に、より効果的にピアノのレッスンを開始できるよう、次のようなカリキュラムを組んでいます。

石黒先生のスクールのカリキュラム

では子どもの発達と関連付けて、具体的な内容をいくつか見てみましょう。

①いろいろな体験(原体験をつくる)
あいさつをする(0歳から)

人の顔を見て相手の気持ちを推察する「ミラーニューロンシステム」を鍛えるために、子どもの目をきちんと見て挨拶をします。教室でも毎回、先生が生徒の目を見て挨拶することは重要ですが、一番大切なのは、お母さんがいかに子どもの目を見て語りかけているかだと思います。この力が鍛えられると、人の真似が上手になりますので、学びの原点でもありますね。

歩く(1歳から)

歩くというのはビート感の基本になります。頭で拍を数えるのではなく、身体で拍感を体得することが大事ですので、音楽に合わせて歩く練習をしていきます。子どもが歩けるようになったら、普段から散歩をするのはお勧めですね。歩くことでリズム感が良くなるほか、歩きながら自分で動けることの喜びを感じ、色々なものを発見、体験することで脳の前頭前野が刺激され、脳の発達にも良い影響があります。

②想像力を育む
ごっこ遊び(1、2歳から)

物を何かに見立てる「見立て遊び」や、何かになったつもりの「つもり遊び」は、子どもを空想の世界に旅立たせてくれる、素晴らしい遊びです。「自分が、こうしたい」という第1の自我が育つ2歳頃の時期は、簡単に何にでも「なったつもり」になれますし、感覚が研ぎ澄まされ、想像力や表現力のベースを作るのに適した時期でもあります。

③音楽的、人間的自立ができる
ピアノの練習(3歳から) 

3歳になると、自分で出来ることが増え、自分の意志を表現できるようになってきます。3歳になるまでは、「第1の自我」によって自己主張が強いものですが、それを親がしっかり認めてあげることで、自分のことを客観的にとらえる「第2の自我」(社会的自我)が芽生える時期です。ピアノを弾く、毎日練習する、ということを通じて、社会的マナーや習慣を身に付け始められるでしょう。親が上手に子どもの「自分で出来た」という気持ちを応援してあげられると良いですね。

④自分で楽譜が読める力をつける
絵として楽譜を読む(3歳から)

3歳前後で、パターン認知能力という絵を見てパッと覚えられる能力が、強くあらわれます。私のスクールでは、この時期に、絵音符を使って楽譜を絵として読むことが出来る訓練をしています。絵音符と、イラストの入った楽譜のプリントを用意し、子どもの力に合わせた無理のないレベルで、子どもが弾きたいと思える曲、子どもが楽しく理解できる曲を取り入れることで、自分からどんどん楽譜を読んで弾くようになります。

⑤他の音と比べなくても音が判別できる力
音感トレーニング(2歳から)

絶対音感を身に付けたいと希望される方には、2歳から個人レッスンを行っています。絶対音感トレーニングには、順番と時期がとても大切です。(⇒次回の連載で詳しくご紹介予定

ここでご紹介した内容は、私のスクールのカリキュラムのほんの一部だけですが、上記に挙げている「リズム感の体得」、「想像力の育成」、「音感訓練」を導入期にやっておくことは大変重要だと考えています。基本的には親御さんがご家庭で出来ることも多く、すぐにでもお子さんと一緒に取り組んでみることも出来るのではないかと思います。更に、そこへ様々な音楽的要素( うたう・聴く・踊る・触れる・・・) による多方向からの刺激を与えることにより、深い部分でイメージが刻み込まれ、一層、効果的です。
私が最も効果の高いと思われる年齢にあわせたカリキュラムをご紹介いたしましたが、この年齢を過ぎていても、年齢の倍の時間をかければ、ほとんどの場合、追いつくことができるでしょう。子どもの力は、0か10かを比べるのではなく、一人一人に合わせて、5の力を6の力へ、8の力を9の力へ伸ばすことを考えてあげたいものですね。

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