ピティナ調査・研究

第1回 ピティナ一宮ステーション×杉浦日出夫先生

ピアノの先生コミュニティ訪問
ちびっこたちにステージの楽しさを体験してほしい!
写真は、勉強会が終わったあとの先生方。後ろの壁に貼られているのは、かすみピアノスクールの生徒さんが描いた絵。

構成員は、独身の若い先生方が半分、ベテラン主婦の先生方が半分。
今日の勉強会のテーマは、カール・オルフの考案した音楽教育について。オルフが開発した子ども用の楽器は素敵な音がするんですよ♪ 代表の石黒加須美先生。ピティナ名古屋支部長でもあります。お酒が大好きなО型。
みんなの楽しみはステップ終了後の打ち上げ。アドバイザーの先生方と、美味しく楽しく食べています。
設立年 1997年
ピティナ・ピアノステップの開催エリア 愛知県一宮市
代表 石黒加須美
主な活動実績 年2回(5月と11月)に「ピティナ・ピアノステップ」を開催。アドバイスがもらえる公開ステージです。「ちびっこフリーステージ」も同時開催。ピアノを始めて間もない子どもたちに、一本指で弾いたり、グーで弾いたり、小物打楽器で参加したりと、ステージの楽しさを味わってもらっています。月1回、かすみピアノスクールで勉強会を開催。
活動内容に関しての問い合わせ かすみピアノスクール TEL 0586-43-422
ステーションページへ
一宮ステーションから記事のリクエストをいただきました!
リクエスト

幼児から大人まで幅広く指導されている音楽教育家の杉浦日出夫先生の生徒さんには、長年ピアノを続けて素晴らしい成果を上げておられる方が多いと聞きます。そうした生徒さんの導入期の指導で、杉浦先生が特に大切にされていることを教えてください。

リズム感を引き出し 歌心を育てるレッスン法

導入期の指導はとても大切です。「その子のピアノ人生を創ってしまう」といえるかもしれません。私の場合、音楽にしてもテクニックにしても、常々「何が自然か?」を自分に問いかけながら、指導しているように思います。

レッスンではいつも、生徒が曲を弾いている間、私は手で拍子を取りながら、メロディを小さい声で歌っています。拍子を取る手が弾いている生徒から見えやすいように工夫します。その子があまり歌うように弾けないときには、音楽が見え、リズムのノリが変わってくるまで歌い、両手で指揮をします。宿題でも時々「声を出してメロディを歌いながら指揮をする」ことをやらせています。
題名のある曲では、曲名を声に出して読みながら、曲のイメージを一緒に考えます。《元気で遠足》などはわかりやすいですが、《あかね色のエレジー》となると、少し難しいです。そんなときは、「あかね色ってどんな色? 音にするとどんな感じ? エレジーって悲しい歌のことだよ。お友だちが遠くへ引っ越したときの感じかな」などと、言葉がけをしていきます。そしてイメージが出来上がったら、それを思い浮かべてすぐに弾く準備に入ることによって、自分の中にあるリズム感を引き出すことができると思います。

レッスンの終わりには、レッスン曲を必ず一通り私が弾き、子どもに聴かせます。前もってあまり練習はせず、なるべく初見で弾くようにしています。こうすることによって、即興的で自然な音楽を聴かせることができ、声で歌う音楽に近い演奏になっているように思います。

ところで、以前「猫が鍵盤の上を歩いても、ピアニストが弾いても、ピアノは同じ音で鳴る」と言った工学博士がいて、大論争になったことがありました。たとえピアニストでも、手だけで弾けば「猫の音」と同じです。頭の中で「内なる心の音」を聴き、魂を込めた「自分の心の音」を創る。そしてそれを手に伝えて音を出す。"手の音"でなく"自分の音"を...これが、ピアノ演奏の真の面白さだと思います。
これを実現するために、導入期から、自分の中にあるリズム感を引き出し、自分の声に合わせて指を動かす訓練をしておくことは有効です。私は「指に声を乗せる」「指から声を出す」などという言葉を使っています。心からピアノが好きな、ピアノを愛する人を育成すること。そのヒントは、常々このようなところにあるように思っています。

杉浦日出夫
すぎうら・ひでお◎中部地方を中心に、演奏活動ならびにピアノの演奏法、指導法、公開レッスンなどを行う。また、音楽大学などで、演奏法、指導法などの講座を担当している。後進の指導にもあたる。ピティナ・ピアノコンペティション審査員、全日本毎日学生コンクール審査員、Miyoshi Net会長、愛知ピアノ研究会代表、全日本ピアノ指導者協会理事。

(ムジカノーヴァ 2012年11月号より転載)

調査・研究へのご支援