第6章-1 ピガール通り16番地
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75009 Paris
M ② ⑫ Pigalle
M ⑫ St. George
M ⑫ Trinité - d'Estienne d'Orves
マヨルカ島からノアンを経て、パリに戻ったショパンとサンドはそれぞれ新しい住まいに移ります。ショパンはトロンシェ通り、サンドはピガール街のはずれの小さな庭に囲まれた、2棟から成る家屋に子供達と落ち着きました。ショパンはトロンシェ通りからピガール街のサンドの家まで一キロ程度の道のりを、しばらく馬車で往復していましたが、1841年の秋、自宅アパートをかつてのルームメイト、ヤン・マトゥシンスキに委ね、サンドが借りていた2つの家のひとつに移って一緒に暮らすようになりました。
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サンドはこの屋敷に、当時、活躍していたあらゆる著名文化人を招き入れ、ショパンは弟子たちのレッスンに励みます。
1842年の春、結核を患っていたヤンは、ショパンとサンドの自宅に引き取られて懸命に看護されますが、ショパンの腕の中で帰らぬ人となりました。悲嘆に暮れるショパンをサンドはノアンの館で癒し、秋になると、家族4人では些か狭く感じるようになったピガールの家からスクワール・ド・オルレアンのアパートに引っ越しました。
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Hôtel Scheffer-Renan
16, rue Chaptal
75009 Paris
TEL: +33 (0)1 55 31 95 67
M ② Blanche
M ② ⑫ Pigalle
M ⑫ St. George
開館時間:火曜~日曜10時から18時まで
休館日:月曜・祝祭日
見学無料
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サンドとショパンの新しい住まいからほど近い、アリ・シェフェールAry Scheffer(1795-1858)のアトリエ住居。1830年にルイ=フィリップ王の公式画家となったシェフェールは家族と共にこの館に移り、住居の両脇にアトリエを建て、ひとつは制作用に、もうひとつは毎週金曜日に政治家や芸術家たちを招き入れるサロンとして開き、当時、ノートル・ダム・ド・ロレット通りに住んでいたドラクロワをはじめ、ショパンやサンドを常連に招いていた。アリ・シェフェールはこのアトリエで1837年にリスト、1847年にショパンの肖像を描く。館内にはジョルジュ・サンドの肖像が掛けられた、ノアンの広間が再現された部屋、ガラス・ケースにはサンドの指輪や彫刻刀などの思い出の品の他、ショパンの髪の毛や彫刻家、クレサンジェ(1814-1883)によるショパンの左手が陳列されている。
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サンドの孫娘オロール(1866-1961)によってカルナヴァレ美術館に寄贈され、1984年にロマンチック美術館のコレクションに加えられた。
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Le Petit Atelier de la rue Chaptal
アリ・シェフェール画
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Le grand atelier d'Ary Scheffer
アリー・ヨハネス・ラム Arie Johannes Lamme (1812 - 1900)画
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火曜~日曜10時から17時半まで
休館日:月曜・祝祭日
info@rosebakery.fr
館内のティーサロンはパリで人気のローズベーカリー。
温室スタイルの店内や中庭で軽食やお茶、ケーキが楽しめる。
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作品のほとんどがロマンチックなピアノ独奏曲であることから「ピアノの詩人」と称される、ポーランド出身のフランスで活躍した作曲家。
クラシック音楽の分野で最も大衆に親しまれ、彼のピアノ曲は今日に至るまで、コンサートやピアノ学習者の重要なレパートリーとなっている。
ワルシャワ郊外で、フランス人の父とポーランド人の母との間に生まれ、生後数か月で家族と共にワルシャワへ移住し、1830年11月、国際的キャリアを積むため、ウィーンへ出発するが恵まれず、一年後の秋にパリへ移住。以後、パリを拠点に活躍し、美しい旋律、斬新な半音階進行と和声によって、ピアノ音楽の新境地を開いた。