大神薫先生(2024/03/28開催レポートより)
入会の動機を教えてください。
ピアノを教えるにあたって、情報が欲しかったからです。私は法律学科の出身で、当時は教えるための技術もツテも、自信もありませんでした。入会してからもわからないことだらけで、しばらくは特別な活動はしていませんでした。
今はとても活発に活動されています。変化のきっかけはありましたか?
あるとき参加したセミナーで、講師の渡部由記子先生がおっしゃっていた「人生は昨日までがリハーサル、今日から本番です。一緒に頑張りましょう!」という言葉に、胸を打たれました。私だけに仰った言葉ではないけれど、まさに自分に言われているような気持ちになりました。
それで一念発起して、指導者ライセンスを受けることにしたんです。「受かるまで取り組めば失敗はない」という言葉にも背中を押され、とにかく挑戦してみることにしました。
指導者ライセンスの取得を通じて、何が得られたと思いますか?
まず、指導者ライセンスを取ると決めてから、セミナーの受け方が変わりました。セミナーで学んだことをどうレッスンで活かすか考えながら受講するとインプットの質が高くなりましたし、レッスンで学んだことを実践すると目に見えて生徒の実力も上がり、手ごたえを感じられました。
演奏実技対策として自らステップに参加した経験も役に立ちました。実際に参加することでステップのことがよくわかり、生徒に勧めやすくなりました。そして、ライセンス取得という同じ目標に向かう仲間が全国にできました。当時出会った友人とは今でもご縁が続いています。
人とのつながりという点で心掛けていることはありますか?
セミナーに足を運んだとき、必ず隣に座っている先生にあいさつするようにしていました。1回1回の交流は些細なものですが、少しずつコミュニケーションを重ねていくことで、顔見知りの先生が増えていき、楽器店の方にも顔を覚えていただけたんです。そして信頼関係を積み上げていくうちに、運営のお手伝いにも関わるようになっていきました。
ステップに参加させるとき、レベルの選び方に悩みます。
ステップは、同じレベルで参加した人同士の演奏を比較する相対評価は行わず、お一人お一人に即した絶対評価です。なのでレベルはあまり気にしなくて大丈夫です。いま練習しているテキストの曲からお決めになってよいと思います。
インターネット上に自分の情報を出すことに抵抗感があります…。どうやって生徒募集をされましたか?
私の教室では、ホームページを経由して申し込んでくださる方がほぼ100%です。はじめは私も顔を出すことに不安があったのですが、家族の助言で載せることにしました。ただし、電話番号や住所の詳細は掲載せず、ホームページの問い合わせフォームを利用しています。
指導者ライセンス取得にあたって、どなたかの指導は受けましたか?
演奏実技に関してはご指導いただきました。指導実技に関しては、日々のレッスンで試行錯誤しながら勉強していきました。
コンペティションにおける指導のポイントはどのように掴んだらよいですか?
最初の頃は全然わからなくて、朝から晩までコンペティションの全国大会を聴きました。1つの級に絞って、自分の感じたことをひたすらプログラムに書きこむんです。最初の年はなかなかわからなかった違いが、2年、3年と続けるにつれて、次第にわかってきて成長を実感できますよ。
未就学児の生徒を指導するうえで、大事にされていることは何ですか?
音楽を楽しむ心を育むことは大前提として、小さいうちに基礎力を身につけることも重視しています。拍感、音符の種類、ドレミの場所は必ず教え、丁寧に繰り返して確実に覚えてもらいます。
指導者ライセンスに興味がありますが、子どもが小さく育児の時間も大切にしたいです。どのように時間をやりくりしていましたか?
私は自分の子どもとの時間が、誰にも代わることのできない一番大事な時間だと考えていました。自分の練習は子どもが学校に行っている間。放課後になって習い事に出かけている間にレッスンをして、子どもが帰ってきたあとは家族の時間を大切にする…と切り替えていました。
コンクールでは、結果が思うようでない場合もあると思います。そんな時はどのようにコミュニケーションされていますか?
コンペに出るときは、申し込む前に「受かることを目的にするのではない」と伝えています。設定した目標に向けて努力を積み重ねる過程こそが、参加する意義なのです。たとえ失敗しても立ち上がって、もう一度挑戦する心の強さを育むことのほうが大事だとお話します。
- 大神先生の「一歩一歩の努力が進み重なって今がある」という言葉に心から納得しました。先生を見習って、努力を積み重ねたいと思います。
- 何事もラクな道はないんだな…と、改めてずっと勉強を続けていこうと思いました。レッスンで忙しく、普段なかなか踏み込んだ勉強をする時間がとれずにいますが、一日の時間の使い方を見直したいと思いました。
- お聞かせいただいたいろいろな経験談を参考にさせていただきます。ありがとうございました。