ピティナ調査・研究

柏原加奈子先生(2023/3/28開催レポートより)

私のピティナ活用法~新入会員オリエンテーションレポートより
柏原加奈子先生
名古屋芸術大学音楽学部音楽教育科卒。駿府札の辻ステーション代表。
コンクールへの挑戦が自分自身の成長に

入会のきっかけを教えてください。

自分ができなかったことを子どもに託してみたい、という思いから、ピアノ教室を始める決心をしました。まだ子どもが小さいうちから教材を買い揃え、近くで開催されていたコンクールを見学し…と情報を集めるなかでピティナに出会い入会しました。

入会後、最初に取り組んだことは?

まずはコンクールに挑戦してみようと思い、自分の娘を含む2名の生徒をコンペに出してみました。そのときは、音の処理や歌い方、打鍵の仕方、トリルの入れ方など、自分が想像したアプローチとは全然違っていて、とにかく驚きました。ただ、他の方の演奏を聴いて、コンクールってすごい!と肌で感じることができたのも事実で、生徒さんと一緒に自分も成長できたと感じました。

コンペに挑戦する生徒が増えるごとに、講評用紙も蓄積されていきました。既知の課題でもより分かりやすく伝わる語彙が見つかったり、自分では気づかなかった新たな観点の指摘をいただいたり。目から鱗が落ちるような講評に励まされながら、1段ずつ階段を上るように学びを深めていったように思います。

  

先生の教室ではとても多くの生徒さんがコンペに挑戦されていますね。

コンクールに出会った当初は、希望者がスキルを磨くために活用するのは良いことだと思いつつ、教室の活動の軸にまでなるとは思っていませんでした。ですが、発表会でコンペを頑張っている生徒さんの演奏を聴いて、「自分もコンペに挑戦してみたい」と感じる人が出てきて、だんだんと参加する人が増えていきました。期日までにどれだけ音楽に向き合えるかを目的としながらも、やるからには本選進出、通過率3割の高い壁を超えることが分かりやすいモチベーションになっていました。

ピアノを長く楽しむことができるように

指導方針が変わったタイミングがあったのでしょうか?

コロナ禍ですね。コンクールが中止になって、正直すごく楽になりました。子どもたちはコンクールに楽しく取り組めているのかな?おうちの人のためなのかな?と私の中で疑問に思っていたことがあり、指導方針を見直しました。

コンクールに積極的に参加していた生徒さんは、中学受験を控えたタイミングでパタッとピアノを辞めてしまうことが多く、逆にのんびりとピアノを楽しんでいた生徒さんは高校生、大学生になるまでレッスンに通ったり、音楽関係の部活動やサークルに所属したりと、生涯にわたって音楽を楽しんでいる子が多いと感じました。そこで改めて、「音楽は競争ではなく、人の心を癒したり元気にしたり、長く人生に寄り添うもの」という基本に立ち返ろうと思いました。

ステップへの参加のきっかけや、参加した生徒さんの気持ちの変化などがあれば教えてください。

ステーションを設立することが決まってから、本格的にステップを活用するようになりました。発表会の後の時期に開催し、発表会の曲プラスもう1曲、という形で参加してもらいます。どんな曲でも、どんなレベルでも参加でき、「みんなちがってみんないい」を体現するステージだと思います。他の方の演奏を聴いて「去年より成長していてすごい」「私もこの曲を弾きたい」などと新しい発見があるのもステップの魅力です。

自分のペースでピアノを続ける生徒さんの多くは表彰の機会を得ることはなかなかありませんが、ステップには継続表彰があります。ステージ上で表彰してもらえて、受験や就活にも使える、というのが子どもたちの意欲につながっています。

集合写真
先生方から寄せられたご質問

初めてコンクールに参加する場合、どのような声掛けをしたら良いでしょうか。

まずは保護者の方に、コンクールに参加するにあたって、目標は結果を出すことではないと伝えます。期日までに自分がどれだけ頑張れるかに注目して、本番は同じ年齢・学年のお友達の演奏を聴いて刺激を受けてこよう、というスタンスでコンクールを活用しています。

小さい生徒さんは、トロフィーや表彰されることがモチベーションに繋がるようなのですが、ちょうどいいコンクールはありますか?

ブルグミュラーコンクールやバッハコンクールはコンペに比べると進出率が高いのと、トロフィーや盾も立派なのでお勧めです。教本でブルグミュラーを勉強する流れでブルグミュラーコンクールに挑戦し、大きいトロフィーをもらえたことがモチベーションにつながった生徒もいます。

コンペの学校表彰について教えてください。

コンペ本選に進出された方は、登録していただいている学校宛に「優秀な成績をおさめているので表彰していただけないか」、という旨のお手紙を出しています。クラス内であったり、全校集会であったり、学校によって対応は様々ですが盛り上げてくださる学校もたくさんあります。

ステップ参加への第一歩がなかなか踏み出せない方が多いのですが、どのようにお声掛けしたら良いでしょうか?

保護者の方が前向きでない場合が多いので、発表会の曲とは別に、もう1曲渡しています。2曲仕上がったタイミングで、発表会は1曲だけど、もう1曲は23ステップのこのレベルで参加できるよ、と声をかけるとあまり身構えずに参加してくれます。

伸びしろがあると感じる生徒さんへコンクールを勧めたら、保護者の方から断られてしまいました。

最終的には生徒さん本人の気持ち次第だと思います。レッスン中にどれだけ子どもが自信を持って取り組んでいけるかが大切なので、とにかく褒めて伸ばします。結果が出せなかったとしても、まずは出てみないと先へは進めないので、保護者の方の気持ちをほぐして、外の空気を吸ってみてほしいと思って声をかけます。
コンペも、まずは予選の2曲を早めに取り組み、譜読みができたら褒めます。課題曲になっているから夏休みの旅行ついでに、帰省する地区で参加しては、と声をかけることもあります。

参加しての感想
  • まだまだ生徒は少ないのですが、柏原先生のお話を伺って生徒のモチベーションを高めていくために、ステップなども活用していけたらいいなと思いました。
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