笠井安弥子先生(2022/2/18開催レポートより)
ご入会のきっかけは何だったのでしょうか?
私はもともと大阪出身で、現在は大阪で教えています。ですが、最初からここで教室を開いていた訳ではありませんでした。音大卒業後、学校教諭として勤務していたんです。吹奏楽部の顧問として充実した日々を過ごしていましたが、このままだとピアノを弾けなくなってしまうという危機感もありました。結婚・出産を機に退職し、夫の転勤で鹿児島に転勤することになります。そこでピアノ教室を開講したものの、縁もゆかりもない土地で生徒募集をする伝手がなく、教室紹介サービスを利用するためにピティナに入会しました。
先生は鹿児島でのステップ運営でもご活躍されていましたね。
初めは鹿児島県の郊外に住んでいましたが、鹿児島市の中央駅近くに引越したことと、子どもの手が離れ始めてきたことをきっかけに「導入の勉強をしなおそう!」と藤原亜津子先生のセミナーを受講しました。隣に座っていた先生から誘われてバスティン研究会に入り、池川礼子先生と出会ったのが人生の転機でした。一緒に勉強をしていて素晴らしい先生だと思い、自分の子どもを見てもらいたい!とお願いしました。ステップの運営に入るようになったのはその時からです。子どもが受けるレッスンは毎回レッスン見学を受講しているような感覚で学びの種がいっぱいだったし、指導者検定やステップの室内楽企画への参加、イベントの運営などで沢山勉強させてもらいました。池川先生が提案してくれるものは「絶対にいいことがある」と確信しているからこそ前向きに取り組みましたし、実際やってみると楽しかったです。
ステップの運営を通じてお知り合いの先生が増えたし、写真でしか見たことがないような憧れの先生とお酒の席を共にして、昔話を聞かせてもらうといった夢みたいに貴重な経験ができました。これからも運営のお手伝いをやっていきたいと思っています。
鹿児島から大阪に戻ってきたものの、もとは学校の先生だったのでピアノの先生との繋がりは薄かったんです。ですが池川先生から甲斐環先生を紹介していただき、我が子のレッスンや勉強会を通してスムーズに学びを再開できました。引越しでもピティナの全国的なネットワークは心強いなぁと実感した出来事でしたね。鹿児島時代から交流のあった今野万実先生が支部長を務める堺支部にも入り、転居後すぐ支部総会に参加しました。緊張はするけど、人とのつながりが大きな財産になると思っての行動でした。
ステップへの参加もとても勉強になります。生徒がもらったメッセージは全て手元に残していますよ。今はコピーしていますが、昔は生徒から借りて手書きでアドバイスを書きうつしていました。多くの先生が指摘するポイントがあれば、それは本質的な課題だろうし、自分が普段言っていることと同じならば自信になります。セミナーとはまた違った形で、とても多くの学びが得られると思います。
入会当初の話に戻りますが、入会してすぐに生徒が増えたわけではありませんでした。風向きが変わってきたのはここ5年くらいで、自分が指導者ライセンスに合格したり、指導者賞を取ったりして自分の研鑽が目に見える形になったのが大きいと思います。現在では30数人の生徒の大半が教室紹介経由ですし、自分が目指す指導スタイルに前向きに共感してくれる方ばかりです。ブログを始めたのもマッチングの精度アップの後押しになっていると思います。
今、少しずつ思い描いていた理想の教室に近づいてきて、ピアノの先生の仕事ってこんなに楽しいんだ!と思えるようになりました。一人だったらこんなに早く実現していないと思います。共に学ぶ仲間、刺激しあえる相手との相乗効果で実現することが出来ました。
振り返ってみると、学校での経験も今に活きていると思います。生徒には「将来、違う職業についてからでもやりたくなったらいつでもピアノの先生になろう!私が指導の面倒見てあげるから!それまでに経験してきたことが役に立って、貴方らしい先生になれるよ!」と話しているんです。
23ステップは検定のようなものですか?(冨永 美穂 先生/長野)
- 23ステップは、課題曲と自由曲の2曲で参加でき、アドバイザーの先生から1曲ずつコメントをいただくことができます。課題曲には、多くの教室でお使いいただいているような教則本や人気の曲が設定されています。自由曲は市販されている楽譜であれば選択可能です。年齢による縛りが無く、生徒さんの進度や目的に合わせて級をお選びいただけます。(本部事務局より)
コンクールのリハーサルとしてステップを利用していますか?
- よく利用してます。コンペの直前は、忙しくなるためご本人の意思にお任せしていますが、本番の雰囲気を感じることができるのはもちろん、他のコンペ参加者の演奏を聞くことができるのがメリットです。予選の雰囲気を柔らかくしたような場で「この曲、こんなふうに仕上げてるんだ」と聞けるのがとても良いです。私としては、コンペのリハとして受けるのであればフリーステップで受けるのがお勧めです。コンペを受ける人は同じ部にまとまる傾向があるので、よりコンペに近い雰囲気で臨めます。(笠井先生)
ステップやコンペを見学することはできますか?(M.O.先生/神奈川)
- 通常時ですと、どちらも見学可能です。ただし現在は感染防止対策として、ステップは関係者のみで実施しております。コンペも会場により付添い人数の指定や関係者のみの来場制限など行う場合がございます。ご来場の際は地区ごとの詳細情報をご確認ください。(本部事務局より)
課題曲・自由曲の選び方のコツを教えてください
- 小さい子には、課題曲はバスティンや「はじめてのギロック」、「ピアノひけるよ」の中から弾かせています。今やっている曲の2ページ先くらいのものや、「この曲、舞台映えしそうだね」とか「この前やってた曲、あれいいじゃん!」みたいな感じで手堅く選んでいます。
自由曲は、今弾いているものよりも"ちょっとかっこいい"、"特別な気持ちで演奏できる"ものを選んでいます。その子のレベルにあわせて、あまり無理はせずに演奏映えしそうな曲や、バロックや古典などの勉強になりそうな曲を選んでいます。反対に、課題曲が古典だったらロマン派にするなど「ステージへの取り組みが楽しい」と思えるような選曲にしています。(笠井先生)
23ステップでは自由曲を課題曲と同じレベルのものにする必要はなく、モチベーションを重視して選曲することが出来ると思います。(本部事務局)
- ポピュラー曲で参加する場合、一部アレンジしたもので参加していいですか?(M.O.先生/神奈川)
- フリーステップであれば自由にアレンジが可能です。対して23ステップの場合は楽譜通りにお弾きいただく必要がございますのでご注意ください。(本部事務局)
ステップはどのくらいのペースで出ていますか?(M.K.先生/愛知)
- 鹿児島にいた時は、年に2回参加できたら多い方でした。「ステップがあるよ、先生もスタッフやってるよ」と全員にお声かけはしますが、強制参加ではないので、1回だけ参加する人や受けない人もいます。
大阪では地区数が多いので、私から選んで勧めるというよりは、生徒さんに自分で情報を見てもらい、受けたくなったら選曲などの相談に乗るようにしています。参加した際は、一緒に行って記念撮影し、教室内でも「おめでとう」と声かけするようにしているので、「一回くらいは出ようかな」と思ってもらえていると思います。
自分の子育てが忙しく、生徒のステップに付き添えるか心配です(Y.M.先生/大阪)
- ピアノ教室はご家族の協力あっての仕事なので、我が子優先がおすすめだと思います。ステップの付き添いに関しては、大阪に移ってからは参加する地区がバラバラなので行けない時もあります。行ける時は交通費と少しの謝礼をもらう事をご理解いただいて付き添います。(笠井先生)
ステップの時のペダルの持参やセッティングは?(Y.M.先生/大阪)
- アシストペダルを使う3、4年生の時期が一番必要で、その時は生徒さんが自分のものを持って行きます。それより小さい時期は会場の補助ペダル台を借りることもあります。(笠井先生)
付添いができないときは、保護者の方がセッティングできるようにレッスンの際に教え、出入りまでの一連を予行演習しておくとよいですよ!(本部事務局)
所属支部とどのように繋がっていけばいいのか分かりません。(坂本 純恵 先生/埼玉)
- そうですよね、私が支部をつながりを持ったきっかけはセミナーで声をかけていただいたところからなので、コロナ禍でオンラインになってしまった今はそういう機会はなくなってしまいました…対面のセミナーもこれからは少しずつ増えていくでしょうし、今できることとしては、思い切って支部総会に参加するという手もあります。初めて参加するときは緊張しますがお知り合いができると思いますよ!(笠井先生)
支部との繋がりは、「一緒に活動に関わってる」という感覚かと思います。コンペやステップへの参加は必須ではありませんが、実際に参加されると、色々な角度からの理解が深まるかと思います。現在、各支部からのSNS発信も推進しているところです。ステーションには「所属」という概念がないので、登録手続きもなく、お好きなステーションにゆるやかに関わっていただくことが出来ます(本部事務局)
支部に所属する時や変更する時には支部へご挨拶が必要?(大塚 彩 先生/東京)
支部に所属したという情報は、本部事務局が毎月支部に対して提供しています。その情報をもとに、支部の方針に基づいて会員に案内を送ったり、ウェブサイトで告知したりしているので、所属する際に挨拶が必要ということはありません。
支部の変更自体は本部事務局へのお電話一本でできますので、お近くのステップに参加されたときに「こちらの方が合っていそう」ということがあれば、ご連絡頂ければ変更できます。また、現在の支部に所属しながらでも別の支部のセミナー等に参加することも出来ますし、ステーションの場合は複数の活動に関わることも可能です。(本部事務局)
コロナ禍でのレッスンについて、休講やオンライン切り替え、月謝など、どのように対応していますか?(山本 弥香 先生/東京)
- 私は大阪に引っ越してきて生徒さんが集まり「さあ始めるぞ!」というタイミングでコロナ第一波がやってきました。以前からオンラインセミナーをしていたので、zoomだけでなく「FaceTimeや最悪LINE通話でもOK」という形で対応しました。初回レッスンをオンラインで始めるということもありました。宣言が解除されたときには、「前日までの連絡なら振り替え対応します」という形でオンラインも併用しながら対面のレッスンをしていました。なので、返金はいままで発生したことがありません。発表会も来週ありますが、今野万実先生や中嶋宏美先生など超ベテランの先生方から、コロナ禍での発表会ノウハウを教えていただきました。一度に大勢が会場に集まらないように、細かく部を分けることがまず大事です。(笠井先生)
- 一昨年の4・5月は「学校が始まるまでお休み」にして月謝も頂きませんでした。その後は家庭ごとに判断をしていただいています。大人の方でオンラインレッスン(LINE通話利用)をした方はいましたが、入会したばかりの方や付き添いが必要なお子様はお声掛けしても実現しませんでした。現在はまん延防止等が出ていても、各家庭で判断のもと対面でのレッスンをしています。(E.T.先生/東京)
- 緊急事態宣言が出た際、「学校に行けないので、せめてピアノ教室には行きたい」という声が多く、手指の消毒、ソーシャルディスタンスを守るなど対策をした上で自宅レッスンは継続しました。一方で、勤めている音楽教室は早い段階でオンラインレッスンへの切り替えがされ、三分の一の生徒さんがオンラインを希望されました。私としてはFaceTimeが使いやすかったですが、オンラインだと生徒さんの音が聴こえないこともあるので対面の方がいいと思います。(山口 好美 先生/神奈川)
☆ピティナでは「Stay at Home,Keep on Music 今 わたしたちにできること」と題して、新しい生活様式のレッスンにまつわる小さな気づき、失敗談、試行錯誤を含めた多くの情報・体験談をお寄せいただき、記事を公開しております。是非、併せてお読みください。
- ピティナは敷居が高いイメージでしたが、こうしてお話を聞いて「生徒にステップ参加を声かけしてみたい」と思いました。(須田 道代 先生/北海道)
- コンペについて「本当に出てもいいのかな…」という思いでしたが、笠井先生のお話を聞いてやってみようと思えました。ステップでの講評も勉強になると思ったので、まずはステップからどんどんやってみようと思います。(M.I.先生/高知)