辻ゆり子先生(2021/5/26開催レポートより)
ピティナに入会されたきっかけを教えてください。
入会したのは20年近く前のことです。あるとき足を運んだコンペの入賞者記念コンサートで出演者のハイレベルな演奏に衝撃を受け、翌年から自分の生徒も参加させてみようと思ったことがきっかけでした。
現在はたくさんの生徒さんをコンペに参加させていますが、どのように挑戦を促していったのでしょうか?
最初に1人参加させたことによって、他の生徒の保護者からも「うちの子も挑戦させたい」という声を多くいただくようになりました。その熱意に応える形で指導していくうちに、今では生徒さんの方から積極的に参加の意思を示してくれるようになりました。
コンクールに参加する生徒が増えたことで、お教室のカラーに変化はありましたか?
目に見えて生徒たちのレベルが上がっていき、今では小学校高学年になるとほとんどの子がツェルニー40番、バッハのインベンションを弾きこなせるようになりました。コンクールに参加しない子も良い影響を受け、以前より熱心に取り組んでいます。
生徒募集はどのようにしていますか?
大々的に集客をしているわけではありませんが、生徒たちの口コミでコンスタントに新しい生徒さんが入ってきます。私の指導方針に納得した方をご紹介してくださるので、良いご縁が広がっています。
eラーニングをよくお使いいただいていますね。
5年ほど前から活用しています。今ではYouTubeなどの便利な動画コンテンツもありますが、どうしても再生回数を稼ぐ方向に向かってしまいがちです。その点ピティナのeラーニングは一流の先生方が真摯に作っているコンテンツばかり。それを家で見放題というのはとても贅沢なサービスですよね。日常のスキマ時間を利用して勉強できるのもメリットです。
今現在はどのような活動をされているのでしょうか?
最近は指導の他にコンサートの企画やマネジメントも手がけています。最近では奈良県にある東大寺でのイベントで12公演ほどプロデュースしました。若い頃はコンペ指導に熱中するあまり、近視眼的な考えに偏ってしまうことが多かったのですが、指導以外も経験する中で、物事を俯瞰して考えられるようになりました。ピアノを教えるということは人を作ること。コンクールで入賞することや音大に行くことは最終目的ではなく、その後の人生を豊かにするための通過点だと捉えるようにしています。
生徒のピアノへの取り組み方と自分の理想像とのギャップに悩んでいます…
私も、始めに受け持った生徒はコンクールに熱心な方たちではありませんでしたよ。でも、そのかわり発表会に丁寧に取り組みました。そのひとのレベルより少しだけ難しい曲を丁寧に磨いたんです。それで演奏が評価されると、その人のやる気や、他の方の入会にも繋がりました。
最初にもった生徒さんが持っている能力をあげることを頑張ったら良いと思います。
子離れが難しい親への対応はどのようにされていますか?
子どもの自立を促すためにも親と子の距離感は大切ですよね。
普段の生活で子どもとどのように接しているかヒアリングしています。必要だと思った時には子どもが自立できるようにお声掛けをしています。
コンクール初心者に前向きに取り組んでもらうためにはどうすればいいですか?
コンクールに初めてだすということは、新しい世界に入ることですよね。生徒も先生もやることが沢山あります。今以上の努力やアプローチが必要になるので、前もって「これぐらい時間がかかりますよ」とコンセンサスをとりましょう。
また、スモールステップの積み重ねが大事です。何回でも練習に付き合う気持ちで向き合うと受け止めてくれるはず。
最初は一緒に走ってあげないとですね。
「勉強がいちばん」というご家庭にもコンクールはお勧めしていますか?
しています。教育熱心な方を味方につけると逆にすごく協力的になってくれますよ。
私は「ピアノと勉強は両立できますよ」と今までの大学生の事例をだしてアプローチしています。「相乗効果」があることをアピールするんです。そういった状況をつくるには、低学年の内が勝負ですね。
コンクールの結果が良くなかった時、保護者にどうお声掛けすればいいですか?
保護者によって受け止め方が様々ですよね。
悪い結果が出ると原因を他に求めたくなると思います。結果にショックをうけてる人に対しては気持ちを吐き出してもらい、私は聞くことに徹しています。惜しかった子には「他の地区だったら獲れたかもしれないね」「また頑張りましょうね」とお声掛けします。また「結果よりもプロセスが大事」という事もお伝えしています。
費用がネックになっているご家庭にステップやコンクールを勧めるとき気をつけていることはありますか?
お金の問題は難しいですよね。
私がコンペに熱心に取り組んでいた時代と今の経済状況は違うと思います。ですので、なるべく無駄がないように提示しようと思っています。アドバイスレッスン一つうけるのだって1万2万しますが、そこをどう捉えるかは家庭によってちがうので「本当に必要」なタイミングでお声かけするようにしています。
ただ、情報は平等に出さないといけないので、教室にチラシをさりげなく貼っておくなど目に留まるようにはしています。その中で、その子にマッチングするかな?と思ったときにお声掛けしています。
ピアノ曲事典とピアノ曲事典プラスの違いを教えてください
ピアノ曲事典は無料でYouTubeの動画等が見られます。「ピアノ曲事典プラス」ではYouTubeに上がっていないものも、ナクソスミュージックライブラリに入っているものなら幅広く聞くことが出来ます。(本部事務局)
- 色々な先生が私と同じことを聞きたかったのだということが分かって良かったです。
- コンクールに参加する際の先生の心構えがとても参考になりました。
- 辻先生のお人柄に感銘を受けました。自分のことを顧みながら聞いていました。