津田智佳子先生(2021/9/28開催レポートより)
先生の自己紹介を兼ねて今までの指導のご経験や、ピティナへの入会のきっかけなど教えてください。
北海道中標津町で教室を主宰し、5年ほど前からはステーションの代表をしています。音大を卒業後すぐに個人教室を立ち上げたものの、当時は今に比べて情報を得る手段が少なかったため、手探り状態でのスタートでした。そんなときに指導者の先輩からピティナの存在を教えてもらい、もっと指導に関する情報や学びの機会を得たいと入会を決めました。入会後は毎期送られてくる会報を熟読したり、各地のセミナーに参加して、徐々に指導の引き出しを増やしていきました。
eラーニングをお使いいただいていますか、どのように活用していますか?
毎年コンペの課題曲説明会には参加しているのですが、情報量の多さに拾いきれないこともあるため、自宅に戻ってからeラーニングで復習をしています。何度も見返すうちに新しいことに気づけたり、一度動画を止めてじっくり考えることもできるので、理解を深めるにはとても良いツールです。
課題曲説明会以外にもご覧になっているコンテンツはありますか?
コンペシーズンには説明会以外にもたくさんの先生方が解説動画を出されているので、様々な解釈を聞き比べるようにしています。コンペシーズン以外にも、地元の先生方との勉強会の素材として活用することがあります。
ステップも活用されていますが、ステップのメリットはどんなところでしょうか?
ピアノの上達にステージ経験は欠かせないものです。年に1度発表会は開催していますが、人前で演奏する機会が増えれば成長が加速しますし、それをご両親にも実感してもらえます。ピアノを習っていく中でくじけそうになってしまう時期は誰にでもありますが、そんなときに大事なのはご両親からの声がけ。たくさんのステージを通して家族に感動を与えられれば、親御さんも全力でサポートしてくださり、困難な時期も乗り越えられると思っています。
中にはステップへの参加を迷われる方もいらっしゃると思いますが。
確かに、発表会のみでいいですとおっしゃる方もいらっしゃいますが、ステージを多く経験し、一回り成長した生徒さんの演奏を発表会で聴いてもらうことで、考えが変わる方が多いです。
ステーションを立ち上げたきっかけを教えてください。
中標津は音楽が盛んな地域なので、ピアノだけでなく合唱や吹奏楽でも参加できるステージを作りたいと考えていたものの、個人での活動に限界を感じ、具体的に動き出せていない状況でした。そんなタイミングでピティナからステーション立ち上げのお話をいただき、熊谷洋先生の「何事もやってみないとわからない」という言葉に押されて、代表になることを決意しました。
ステーション活動はどのようなことをしているのでしょうか。また、活動していく上での目標はありますか?
まずは年に1度のステップを継続していくことを目標にしています。最近では協力してくださる先生やステップの参加者も増え、少し運営に余裕が出てきたため、いずれは有名な先生をお呼びしてセミナーやイベントを開催したいと考えています。また、ステーションとは別に地域の先生方の勉強会も開き、共に学んでいます。私の目標は、勉強のために地元を離れた若い子たちが「帰ってきたい」と思えるような街にすること。そのために中標津町の音楽文化をもっと盛り上げていきたいと強く思っています。
大人のステップ参加について伺いたいです。(姫野 薫 先生/奈良)
参加しているのは大人になって始めた方や、再開した方、コンクールを受けるような方など多様です。大人の方も参加しやすいように、大人同士、あるいは中学生以上の方がまとまるよう時間割を組む地区も多くあります。(事務局注:地区により、様々な世代の演奏が聴けるようにバランスよく時間割を組むこともあります)また大人の方は、予めアンケートでピアノに関する背景をアドバイザーの先生方に伝えることができるので、それを踏まえたコメントがもらえます。(本部事務局スタッフ)
ステップに生徒を出す際の曲選びのコツはありますか?(高村 亜矢子 先生/兵庫)
23ステップとフリーステップがありますが、私は23ステップを勧めています。ひとつひとつのレベルをクリアしていきながら自由曲…という風に成長を確認しながらできるからです。フリーステップは中学生以上の「あの曲を弾きたい!」という方にお勧めしています。(津田先生)
発表会とクリスマス会がある為ステップは休みがちに…年3回だと「多くて大変」と思われそうで心配です。(草野 優子 先生/宮城)
ステージは多ければ多いほど良いと思いますが、経済面がネックになるご家庭もありますよね。別の先生からの評価が貰えることをアピールし、発表会の曲を自由曲にして参加を勧めたりしています。(津田先生)
これから生徒募集をする際にどういうことを気をつければいいでしょうか?(内匠 慧 先生/愛知)
私も実は今年から独立しました。小さな町なので、SNS投稿や、HPのブログ更新を頑張っています。これからチラシをつくって近所の公共機関に宣伝活動をしようと思っています。今の生徒さんは紹介で来てくれました。(奥村 果歩 先生/北海道)
リトミックの教室でピアノを弾いていて、そこの卒業生からのお声かけでピアノを教えるようになりました。はじめは5人からで、その後はリトミック教室の卒業生や、教え子の兄弟姉妹へと広がっていきました。広報活動はしていませんでした。友達の中にはシッターさん、保育園の先生をやっている人がいて、ピアノ以外のところから生徒を獲得しているケースもあります。東京都では逆に先生が沢山いるので「どうやって選べばいいのか分からない」という人が多いと思います。(A.S.先生/東京)
指導者を探そうと具体的に行動する層の方だけでなく、ピアノはやってみたいけどどうしたらいいかわからない…という方も多くいるのですね。そう思うと、学校とのつながりがあることは長い目で見て強みになりそうです。(本部事務局スタッフ)
生徒さんのご自宅での練習に保護者を巻き込むお声掛けやサポート方法を教えていただきたいです。(鈴木 みなみ 先生/愛知)
ばんばん動画を送っています。1分くらいで「こういうことを今やっています」ということを毎週お伝えすると「一緒にやってみます」と返信してくれるんですね。大変だけど、先生と保護者と生徒の関係が安定するまでは続けています。親御さんが負担に感じていると思ったら2週間に1回などに頻度を調節しています。(津田先生)
最初に入ってきた生徒さんが中学生になり、「部活や合唱コンクール、テストで忙しい」という局面を初めて経験しています。どうレッスンを進めるのがいいでしょうか。(谷口 智子 先生/宮崎)
本当は毎週来てほしいですが、「毎週は来れません」という人がいればレッスン時間を
その日の一番最後の時間に設定しておいて、来れない時は単発レッスンを入れてスケジュールをくんでいます。基本的には、なるべく毎週来てもらえるようにお声かけしています。(津田先生)
わたしも回数を減らすという対応はしていないのですが「来てもらえるだけでも嬉しい」と譲歩したスタンスでレッスンしています。部活やテストで忙しいときは振替で対応します。通常のレッスンが入っていない曜日にするので、いつもより時間がとれてピアノ以外の悩みや愚痴をきくことができるからです。生徒と先生という一時的な関係でなく、卒業しても発表会に戻ってきてくれたり、お手伝いをしてくれるような関係性になれたらと思うので、ひとりの人間として向き合う良い時期でもあると考えています。(小林 伊都子 先生/東京)
- 私も指導歴は長いですが、なかなか生徒募集に悩むことが多く、今日同じように悩んでいる先生がいるということが分かって良かったです。津田先生の「地元で音楽をさらに広げていきたい」というお話も心に響いて、自分もそんな風になりたいと思いました。(中村 志織 先生/福岡)
- 子育てをしながら仕事をすることに悩みながらの教室運営でした。そんななかで、このように勉強出来る環境はとても有難いです。これからも、先生同士集まる場を活用して悩みを解決していきたいです。(伊藤 智子 先生/北海道)