ピティナ調査・研究

第11回 音色とか、音のやわらかさって、どういうこと?

みー子さんのピアノ・アレ・コレ
フッフ~ン♪あれ、まさお、鼻歌なんか歌っちゃって、なんかいいことあったの?いやね、おれ、週末の発表会でモーツァルトのソナタ弾いたんだけどさ、先生にほめられちゃったよ。へぇ。よかったね。で、なんてほめられたの?いやね、「まさおくんは、音がやわらかくって、音色(おんしょく)もとってもきれいね」ってさ。オレにとってはサイコーのほめ言葉だぜ、これ。へ?そう?指がすっごく速く動くね、とか、難しい曲弾けてすごいね、とか言われたほうが、すごくない?ほ~ぅ。さてはおまえ、音がやわらかくて音色がきれい、とかほめられたことないんだろ?え・・・?ははは。だいたい、音色のこと、考えたこともないんじゃないのか?それじゃあ、音楽ってものにならないな。しょせんおまえとは話にならないね。まさおくん!そんな言い方しなくたっていいじゃない!まさおくんは、いつもみー子ちゃんにイジワルなんだから!な、なんで、ふさ子が怒るんだよ・・・わ、わかったよ・・・。みー子にもわかる時がくるかもな。じゃ、オレ練習あっから。みー子ちゃん、気にしちゃだめだよ。ふさ子も一度、ピアノの先生に、「あなたの音には色が何もないわね!」って叱られたことがあるの。でもよくわからなくって。う~ん。そうだよね。音は目に見えないし、触ることもできなにのに、なんで色だとか、やわらかさだとかって言うんだろう。不思議ねぇ~・・・ふぅ・・・・・・ただいま、キーマン先生。やっぱりわかんないや。ふぅ・・・あれ?みー子さん、ため息なんてついちゃって、どうしたの?あのね、今日学校でピアノを習ってるお友だちが、音がかたいとか、やわらかいとか、音色だとか、ヘンなこと言ってたの。でも、音ってさわったり見たりできるの?あれ?みー子さん、音を見たことないの?よく見れば、ピアノから出てくる音は見ることができるんだよ。うっそー。またまたぁ。見えない、さわれない、って思いこまずに、まずはイメージしてごらん。イメージ・・・ねぇ。じゃあ、最初はわらかい音。これはお花が咲くように、ふわっと部屋中に広がる音。ふわっとお花のイメージね。次にかたい音。これは、まっすぐにピアノから出て行く音。聞いている人の耳にスッとそのまま向かっていくよ。そっか、じゃあ音がやわらかいとか、かたいって、ピアノから出ている音が、聞いている人にどんな風に耳に音が届いてるか、ってことなのね。自分で弾きながらだと、ちょっと想像しにくいかもしれないけれど、耳だけ別の人になったような気持ちで、よく聴いてごらん。耳だけ別人!?うーん、うまくできるかなぁ。じゃあ、今度は音に色をつけて考えてみよう!やわらかい音は、みー子さんの好きな、ピンクや水色みたいなパステル色だよ。お花はふんわり、パステル色をイメージ・・・・かたい音は、赤や青など、濃くてはっきりした音をイメージしてみて。うん。しっかりくっきりした音の感じ!少しは音が見えてきたかな?ピアノを弾くときに、絵を描くみたいに、次の音はどんな色で出してみようかな?って考えて。みー子、絵日記書くのとか、ぬり絵とか大好きだよ!ピアノもいっしょなんだね。大切なのは、自分の好きな色で描いていくこと。正しい色っていうのはないんだ。ピアノでたくさん絵を描くことは、すごく楽しいよ! やっと音の色とか、やわらかいとか、わかってきたかも!でも、どうやったら上手に色をつけられるの?一番大事なのは、タッチだよ。鍵盤の少し上から、指先のかたいところで少しはやくタッチすると、かたい音になるよ。やってみよう!あっ、ほんとだ!くっきりした音が出た!今度は、指先のすこし下、やわらかいところで弾くと、音がやわらかくなるよ。みー子の指のプニプニしたところね。あ、肉キューで弾いたら音がやわらかくなった!指のいろんなところでタッチしていいんだね。タッチの仕方で、ずいぶん音が変わるよね。知らなかったー!いろんなタッチで、いろんな色、つけてみたくなったよ!有名なピアニストのクラウディオ・アラウさんは、ppは子猫の肉球、ffはトラの肉球のようなタッチで弾いているよ。指のやわらかいところや、かたいところを使い分けると、いろんな音色が出せるんだ。そっかぁ。いろんな人の音色をきいてみることもダイジだね。頭の中に、たくさんの音のイメージを作ってみるといいよ!カラフルで美しい音が出せるように、やってみてね!ハーイ!じゃあ今日は大好きなぬり絵から!ピアノはそのあとにしようっと!えええっ!ちゃんとタッチの練習もしてね! かくれキーマン