第26回 丸子あかね先生
城下町川越に丸子あかね先生のお教室はあります。ご自宅をかねた教室と、そこから徒歩1分にピアノと幼児教室のための専用教室があります。どちらのお教室もさんさんと日が当たり、丸子先生の人柄の温かさが感じられます。
2006年9月に丸子先生のレッスンを受けている生徒さんとそのお母様10名ほどお集まりいただき、丸子先生のお教室についてインタビューを実施しました。
丸子あかね教室に入ったきっかけは?
生徒Aのお母様:ピティナ川越支部の入賞者記念コンサートに行く機会があり、出演者の中で「丸子あかね先生に師事」となっていた小学生のお子様たちがひときわ良い音で表現力豊かに弾かれていたのが印象的だったからです。
丸子先生のレッスンはどのような感じですか?
生徒Aのお母様:一言で言うなら、「つぼにはまるレッスン」です。
子供の目線で考え、子供に理解できる言葉や体のすみずみまでの動きについて指導をしてくださいます。例えば、子供に理解しやすいように曲にあった具体的な歌詞をつけて一緒に歌いながら教えてくださったり、一人ずつの生徒の特性を見極めて、その生徒にあった「つぼにはまる」言葉で教えてくださいます。先生のボキャブラリーの豊富さおよび的確さにはいつも感心させられます。
生徒Bのお母様:丸子先生のレッスンは大変わかり易くて丁寧です。
その子供に合わせて細かく弾き方、練習の方法等を指導してくださり、初めてレッスンに伺った時はこんなにわかり易く教えて頂けるのだと、「目からウロコ」状態でした。
「一週間でこれだけはやって来てください。」という注意(課題)が明確で、必ず出来る事だけをおっしゃるので迷いがありません。ポイントを押さえたレッスンというのでしょうか、感動したのを憶えています。
同じ時間をピアノの練習にかけても暗中模索ではなく、確実に上達するなと、思えたものでした。
生徒Cのお母様:こちらのピアノ教室に入って驚いたことがあります。
それは、普段のレッスンをビデオで撮影するという事を皆さん当たり前のようになさっていたことです。先生のレッスンを録画し、復習するというのは、私にとって画期的なことでした。以前師事していた先生は、「親はレッスン室から退室してください。」と言われており、それが普通だと思っていたからです。
丸子先生のお教室は毎年ピティナのコンペティションをはじめさまざまなコンクール等ですばらしい成績をおさめていらっしゃいますが、そういった舞台に上がる前までのレッスンはどのような感じなのですか?
生徒D:私は先生の曲の構成が大好きなのです。同じ曲を色々な方が弾いても、それぞれ違った出来上がり方になると思います。コンクールなどで実感することが多いのですが、結果とは関係なく先生のおっしゃった様に弾けるととても満足です。また、毎年色々な曲にコンクールを通して出会える楽しみが大きいです。
生徒Eのお母様:先生は子供に「コンクールはお祭りよ!」とおっしゃってます。
そして、「普段から努力をする子は絶対ご褒美もらえるのよ。」と。先生の中での予選のハードルがとても高く設定されているように感じます。それは全員が予選を通過できるように、そして本選でせっかく練習した曲を弾けるようにということからのようです。本選からは個人個人の目標を設定してくれます。
コンクールだけでなく全ての舞台に対して 個人の目標が明確なため、生徒さんは目標に向かって頑張ることができ、そして達成したとき喜びを分かち合えることになります。
生徒Fのお母様:必ず年に1回~2回は舞台に出る事を勧められて、ステップに出ています。舞台での演奏は、ほどよい緊張感と満足感があるので、とてもいい経験になっています。また、アドバイザーの先生からのコメントは、とてもためになりますし、継続して参加したいと考えています。現在、ステップでの目標は、継続表彰の盾をもらうことです。
生徒Gのお母様:コンクールの際には特に心のケアをしてくださる様に思います。
親身になって子供とともに一喜一憂し共に涙してくれるので、子供も先生に絶対的な信頼を持っているようです。決して1人ではなく先生がついているという確信があるから次の年もまた頑張ろうという気持ちになれるのだと思います。
丸子先生のお教室ではお母様方のつながりなどがありますか?
生徒Aのお母様:丸子先生のサバサバしたフランクなお人柄を反映してか、教室内でお母様同士がとても仲が良いのです。連絡網があったり、横のつながりが心地良く、和気あいあいとしていて、動物園やコンサート等に出かけます。
生徒Hのお母様:連絡網のシステムは先生のご出産の際に作られ、今は新しい方が入られたらその都度作り変えています。クリスマス会やコンペの打ち上げ、遠足など色々なイベントを行っているので、自然と親同士も仲良くなります。コンペ前はお母様の中の担当者の方がリハーサルの会場を予約したりしています。」
丸子あかねピアノ教室では、幼児(2歳から)のためのクラスを実施されているそうですが、幼児期の教育についてどうお考えですか?
丸子:長年指導を行ってきて、楽譜を読めないとピアノが嫌いになっていく子供をたくさん見てきました。他の教室から移ってきた生徒があまりにも楽譜が読めなかったり、リズムが理解できなくて苦労されている先生は他にもいるのではないでしょうか。以上のような失敗や悩みから幼児期の教育の必要性を感じて、今の幼児教室の開設にいたっています。子供にはいつまでもピアノが好きでいてほしいですよね。
幼児教室では具体的にどのようなレッスンを行っているのですか?
2.長調・短調を理解し、それを体で表現させる
3.リズム・拍子(4/4・3/4・2/4・6/8)を理解させる
4.五線の音符が読めるだけでなく、鍵盤と音符が一致できるようにさせる
5.音程を理解させて速読へつなげる
6.絶対音の習得を目指す
上述の要素を歌やピアノに合わせて、手作りの教材を作りながら、楽しんでレッスンできるようにしています。遊びの中からピアノを弾くために必要な要素を習得し、「気がついたら楽譜が読めるようになっている」という状況です。
そのため、ピアノ演奏に入ったときには、苦労することがないのです。
幼児のレッスンで工夫されていることはありますか?
丸子:教室としての目標はピアノを弾く入り口まで到達することですが、幼児期は子供の成長において大切な時期ですから、随時状況に応じた取り組みを行っています。例えば、各クラスのレッスン毎のレベルおよび個人の状況に応じた指導案を事前に作成して、内容に合わせて幼児が興味をもてる教材を手作りでそろえ、レッスンに望みます。レッスンは、1クラス5人以内の生徒に対して2人の先生で指導することで1人1人に行き届いた丁寧な対応を行っています。さらに、レッスンをよりよくしていくために、レッスン後には報告書を作成し、月ごとにミーティングを行い、改善点を話して次回に活かすこともしています。
幼児教室は長年やりたかったことでした。実際、希望が現実化して、レッスンをしてみると、子供たちがとても楽しそうにしているので、心にやすらぎを感じますし、本当にやってよかったなと思います。
先生はお若いのに指導歴は長いとお聞きしましたが?
丸子:高校の頃からアルバイト程度でしたが、当時習っていた先生のお手伝いで始めたのが最初ですから、かれこれ20年弱です。大学生の頃は生徒さんのレッスンばかりしていて大学の先生に怒られたりしましたね。「でもあなたの様なピアノ人生もいいかもしれないわ。」と最後は応援して下さいました。
でも、今から思うと若い頃の10年は何も分からず、1人で右往左往していたように感じます。コンクールに生徒を初めて出したのも大学3年生の時で、とにかく必死で楽しむ余裕はありませんでした。
7歳と5歳の男の子のお母様というのは本当ですか?
丸子:はい。毎日額に汗しながら戦ってるという感じです。(笑)
子供を持ってから生徒さんに対しての視点がかなり変わりました。
たった2人の兄弟ですが、2人の性格や得て不得手も全然違うんです。同じ様に育ててきたつもりでも、こんなに違ったタイプの子供に成長する事に日々驚かされます。親として見ているとそれぞれ個性豊かで、おもしろい!自然とそれぞれに対しての対応も変わってきました。ここまで出来たらOKというラインも違うんです。 若い頃の私は「このくらい出来なくちゃ」と皆を同じレベルに無理に引き上げようとしていたと思います。我が子だけ見てもこれだけ違うのだから、生徒さんが同じラインなんてありえないし、本人も親御さんもそれを求めているわけじゃないと思い知りました。
ピアノを習わせるのはプロになって欲しいわけではなく、努力を重ねる・集中力を身につける・毎日コツコツと継続する力を養う事等々も要因の1つなんですよね。何より私自身が才能派でなくコツコツ努力派なのです。子供達にも努力した子にはいい思いをしてもらいたいという気持ちが大きいので、その気持ちをずっと忘れずにいきたいです。
ピアノの先生は、もしかすると学校の先生よりも生徒さんの人生に与える影響力が大きいのでは・・・と感じます。親としても指導者としてもまだまだ半人前ですが、「先生のレッスンに来るとすごく元気になるんです」と言ってくれる生徒さんの為にも親御さんと共に人生を応援し見守っていきたいと思います。
今日はありがとうございました。