第4回 決して『嘘はつかない(非は認める)』、約束を『守る』
面接では、相手を知ろうとする気持ちを伝え、私自身のことも知ってもらうようにお話します。その中で「私は厳しいですよ」と必ず伝えています。それは「嘘をつかない」「約束を守ること」という2つの原則についてです。
この2つが守れなかったときに私は叱ります、と事前にお話します。例えば、練習していないのに練習をしたと言うときには叱ります。ただし、練習の仕方がわからないなどの場合は叱りません。それは、こちらの指導が不十分だからです。
「ここがわかりません」という生徒には、わかるまで徹底的に指導します。これは当たり前のことだと思います。一回でも「わかった!」と思ってもらえたら嬉しいことで、そこから「では何回練習できる?」という話になります。
次のレッスンで練習してこなかった場合、「なぜやってこなかったの?」と問いかけます(私の中で2回までは許容しています)。「では、もう一回教えるから、次はやっておいで」と話します。それでもこういうことが続き3回目になると本気で叱ります。ただし、生徒の個性に合わせて叱り方は変えています。
教室の扉を開けて「先生、今日は練習してきていません」という生徒もときにいます。そんなときは「なぜできなかったのか?」を必ず聞くようにしています。ただの怠慢もあれば、病気や勉強が忙しかったなど、様々な理由を話してくれます。
コンクールに出る生徒は目標があってやっているので、練習を怠ることは少なく頑張ってくれます。一方、スローペースで楽しくやっている生徒は、様々な理由でピアノを続けているため、宿題の量も少なめのケースが多いです。
20代でピアノの指導者を始めた頃は、できないことも「できます」と言っていたように思います。「先生」という立場上、弱みは見せられないと思っていたのかもしれません。
しかし、コンペティションを通して審査員(第三者)から「あなたはできていない」と現実を突きつけられました。その時に、保護者から「先生、(この子を)もっと頑張らせないといけない」「私たちももっと頑張ろう」という声をいただき、そこで初めて指導者、保護者、生徒との間にきちんとしたトライアングルができたように思います。その時の生徒さん及び保護者の方とは今でも交流があり、絆の深さを感じています。
わからないものは「わからない」と正直に伝え、「こんな難しい曲は先生もしっかり勉強するね」と、誠実に向き合うようにしています。叱るときも「あなたのことが嫌いで叱っているのではありません」ということを理解してもらえているか見極めながら指導しています。
こちら側が約束を忘れたときはきちんと生徒に謝り、謝って許してもらえたときは、必ず「ありがとう」を伝えるようにしています。お互いが同じ目線に立つことを大切にしているからです。