No.8 デュオプレイエル
No.8 デュオ・プレイエル
ギャラリー
解説
ショパンが愛用したピアノとして名高いプレイエル社は、1807年パリ創業。一代目のイグナツ・プレイエル(Ignaz Pleyel,1757- 1831)、二代目で長男のカミーユ・プレイエル(1788-1855)らによりその一流メーカーとしての地位が確立された。工房内のショールームでは、当時脚光を浴びていた名ピアニストで1835年までカミーユの妻だったマリー・プレイエル(1811-1875)が音楽仲間を集めたサロンを運営、ショパンはそこで歴史的はパリデビューを飾る。
その後も三代目にカミーユの義理の息子ヴォルフ、さらにその義理の息子リヨンが四代目となり、プレイエル社は工場の拡大・近代化に成功して、最盛期には年間3000台のピアノを生産し、パリのロシュシュアールのショールームの他に、パリ市内に2軒、ブリュッセル、ロンドン、シドニーにそれぞれ1軒の支店を持つほどに成長した。
そんな中1890年に登場した二重奏用ピアノは、1つのケースの中に2台分の弦が張られ、両端に鍵盤を備えて響板を共有する、まさにピアノデュオの為のユニークな楽器。このピアノなら、ピアノデュオの演奏のために似た性格のピアノを2台揃える必要はない。2台分のダイナミックな響きは、共有されたケースと響板により完全に溶け合う。
当時フランスではこのような 二重奏用ピアノは数多く作られていた。
シャブリエ、ドビュッシー、ラヴェル、プーランクらがピアノデュオの為の名作をたくさん生み出した時代ならではの楽器だろう。プレイエル社でのこの楽器の生産は、1890年代から1920年代まで続いた。 その重厚かつ軽やかな響きは、当時のパリからの風を運んでくるようだ。(解説:宮崎 貴子)
動画で解説を見る(演奏が聞けます)
楽器種別 | ピアノPiano |
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製作者・製作年 | プレイエル(パリ) Pleyel(Paris) 1925年頃 |
概要 | [全長] 248.0cm [鍵盤数] 88鍵 [音域] A2~c5 [アクション] 突き上げ式 ダブルエスケープメント |
- 取材協力:浜松市楽器博物館
動画
試奏
関連情報
資料
- 浜松市楽器博物館 所蔵楽器図録
- 「ピアノの歴史」小倉貴久子著(河出書房新社)
- CD:コレクションシリーズ31 「ラ・ヴァルス ~華麗なるデュオ・ピアノの芸術~」
この楽器を見られる場所