ピティナ調査・研究

No.1 クリストフォリ(1720レプリカ)

No.1 クリストフォリ(1720レプリカ)
解説

1720年製のクリストフォリピアノをもとに、河合楽器製作所(浜松)が1995年製作した復元楽器。オリジナルはそれぞれ1720年(メトロポリタン美術館蔵,ニューヨーク)、1722年(ローマ楽器博物館蔵)、1726年(ライプツィヒ大学楽器博物館蔵)製。

バルトロメオ・クリストフォリ(Bartolomeo Cristofori, 1655-1731/イタリア)は近代ピアノの発明者である。その類稀なる発明の才に加えて、メディチ家のお抱えの楽器製作者という大変恵まれた立場にいた彼は、新しい楽器の開発・改良に余念がなく、この発明以外にも様々な(風変わりな)チェンバロやスピネット、クラヴィコードなどを作っている。

「グラーヴェチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテGravecembalo col piano e forte(弱音と強音が出る大きなチェンバロ)」という名で紹介されヨーロッパ各地に広まったこの楽器は、その名のとおり、"見た目はグランド型のチェンバロなのに、指の力加減で音に強弱がつけられる"新楽器として、ゆっくりと普及していく。
アクションは、後の"イギリス式アクション"の基礎となり、現代のピアノにも受け継がれている。1726年製のハンマーヘッドには羊皮紙を円筒状に固め、弦に触れる部分には小さな皮片を貼ったものが使われている。手動のウナ・コルダ機能も備わっている。
このクリストフォリモデルの楽器は、現代の感覚で聴くと"非常にチェンバロっぽい音"と思われるかもしれない。が、チェンバロよりは音色が随分やわらかく、軽く明るいながらも、弱音の繊細な表現ができる。
スペイン王妃マリア・バルバラ(1711-1758)の実家であるポルトガルの宮廷には、クリストフォリのフォルテピアノが数台置かれていたようだ。マリアは嫁ぎ先へもこのいずれかの楽器を伴ったであろうとされ、彼女の音楽教師であったD.スカルラッティ(1685-1757)のレッスンや彼の作曲にもクリストフォリのフォルテピアノは使用されたと考えられている。(解説:宮崎 貴子)

動画で解説を見る(演奏が聞けます)
楽器種別 クリストフォリ・ピアノ(復元品)Piano by B.Cristofori(Reproduction)
製作者・製作年 河合楽器製作所(浜松)KAWAI Musical Inst.MFG.Co.(Hamamatsu)  1995年頃
概要 [全長] 228.0cm
[鍵盤数] 54鍵
[音域] G1~c4
[アクション] 突き上げ式 シングルエスケープメント
  • 取材協力:浜松市楽器博物館
動画
解説
試奏
関連情報
同時代の代表的な楽曲

クリストフォリのピアノは大変高価なもので、所有できたのは当時の王侯貴族に限られます。たとえばスペイン王宮が所有していた記録があります。スペイン王妃マリア・バルバラに仕えたドメニコ・スカルラッティが、クリストフォリの楽器を使った可能性は大きいでしょう。このタイプの楽器のために作曲したことがはっきりしているのは、ジュスティーニで、彼の「作品1」は史上初のピアノ曲であると考えられています。(文責:ピティナピアノ曲事典編集部)

お勧め曲
  • ジュスティーニ:ソナタ集作品1 スカルラッティの各曲
この楽器を見られる場所
〒430-7790 静岡県浜松市中区中央3-9-1
9:30~17:00(休館日