第26回 『フランス現代ピアノ小品集』第1巻・第2巻
◆ 解説
現代フランスのクラシック界・ジャズ界などで活動する作曲家たちによる小品集。
音を塊で弾くクラスターを取り入れたり、ピアノの残響を生かしたり、複調的な響きを取り入れたりする一方で、サティの「ジムノペディ」を思わせるけだるい音楽あり、ノスタルジックな音楽あり、南米風の明るい音楽あり、小粋なジャズ風ありの多彩なスタイルで、決して聴きづらい曲調ではなく、弾いても聴いても楽しめる作品集です。
◆収録曲・コンテンツ
演奏・曲目解説: 大竹 紀子
曲名 | 映像 | |
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フランス現代ピアノ小品集 第1巻 | 楽譜 | |
1.ダニエル・ブリオン / センチメンタルな歌
メロディの最初の2音は4度下降してため息のようになっているのに対し、再現では同じ音が5度上昇し少し気分を持ち直すような感じになっています。中間部の3連符も急がず歌いましょう。 |
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2.ベルナール・デゾルミエール / マキシムのためのバラード
左手の微妙に変化するハーモニーから紡ぎ出されるように右手のメロディが歌われる、サティの「ジムノペディ」を思い起こさせる小品。メロディがだんだんと沈むように低くなってゆくのを感じましょう。 |
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3.ベルナール・デゾルミエール / ジャワ・ジャズ
アクセントと装飾音が小粋なジャズ風の小品。装飾音はペダルを踏まないで、乾いた感じにするとよいでしょう。 |
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4.ベルナール・デゾルミエール / トゥー・プラス・ワン
バスの動きとオフ・ビートのアクセントがジャズ風な小品。タイトルは「2手+1手」の意味にもとれます。 |
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5.ギィ・レーベル / ガーランド
ペダルをたっぷりにして、残された響きをよく聴きましょう。曲はほとんどが全音音階の不思議な響き。3ページ目の頭の懐かしい響きは五音音階によるものです。 |
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6.ベルナール・デゾルミエール / 東洋の知恵
五音音階イコール東洋の典型的な図式。恥ずかしがらずに(?)明るい音で弾きましょう。 |
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7.ダニエル・ブリオン / テディのサロン
冒頭の5度音程や、7小節目からの五音音階がノスタルジックな雰囲気を造っています。全体を優しい響きで弾きましょう。 |
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フランス現代ピアノ小品集 第2巻 | 楽譜 | |
8. ラインハルト ダヴィッド フレンダー / 霧の中にきりたつ岩壁
楽譜の黒く塗られた部分はクラスターといって、音を塊として弾くことを意味しています。32分音符の音をそのまま押さえて書かれた拍節分を延ばしましょう。この小品にはアメリカの作曲家アイヴスの影響も感じられます。 |
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9.ルノー・ギャノー / 遠くの鐘
ピアノの残響音まで聴き取る、響きのエチュード。冒頭では、打鍵後の弦の余韻をペダルで残します。最後は音が完全に消えるまで聴かなければなりません。 |
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10.ベルナール・デゾルミエール / モデュレーション
タイトルの通り、フレーズごとに転調していく作品。左手の7度音程とハーモニーの移ろいに色彩をつける、そんな風に感じましょう。 |
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11.アニーク・シャルトルー / 毎秒18イメージ
子どもの移り気な様子を描写するようなストーリー性のある小品。それぞれのセクションのテンポや強弱、アーティキュレーションの変化に注意を払いながら、自由にイメージを組み立ててみましょう。 |
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12.ベルナール・デゾルミエール / Opus 6
まさに本格的なジャズ。オフ・ビートのアクセントを強調して弾きましょう。曲はAとBの2つのセクションがそれぞれジャズの即興のように変奏されています。Aセクションの変奏では左手をジャズのダブルベースのようにノン・レガートで弾くとよいでしょう。 |
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13.クリシュナ・レヴィ / 小さな喜び
小さな楽しいいたずらが、あちこちにちりばめられた小品。左手と右手のアーティキュレーションの違いに気をつけましょう。 |
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14.ルノー・ギャノー / 途切れぬシグナル
D音が「シグナル」のように繰り返されています。リズムをきちんと守って、「シグナル」が淡々と送られているように。そして、そのまわりで変わっていく響きを聴きましょう。 |
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15.ドミニク ルメ / 4分の5拍子のバラード
南米風の明るい雰囲気に満ちた小品。2つのテンポに意味をもたせ、片方は踊りのように4分の5拍子をはっきりと、もう一つは歌い上げるようにテンポを揺らせて弾きましょう。 |
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