クイズ:ドゥシークが始めたあることとは?

掲載日:2013年3月23日
執筆者:林川崇
先日筆者が記事に書いたクレメンティ同様、ソナチネのみで知られる作曲家に、チェコのヤン・ラディスラフ・ドゥシーク(1760~1812)がいます。「ドゥセックDussek」という名前でご存知の方も多いと思いますが、チェコ語では「ドゥシークDusik」と言い(システム上アクセント記号は略します)、最近ではこの呼び方をされることも多くなってきています。
ここで問題です。ドゥシークは、現在の演奏会では当たり前になっている「あること」を始めたとされていますが、さて、それは何でしょうか?
クイズの答え
掲載日:2013年3月25日
土曜日のクイズ「ドゥシークが始めた現在の演奏会では当たり前になっているあることとは何でしょうか?」ですが、正解は「ピアノを舞台に向かって横向きに置く」でした。現在、多くの演奏会でピアノはこの形で置かれていますね。それ以前は、ピアノを囲むように座ったり、観客に背を向けて弾いたり、などが普通だったようです。
グランド・ピアノはピアニストから見て右側に音が飛んでいきますから、この配置は音響の面で合理的なのですが、ドゥシークが始めたのは別の理由からとされています。
ドゥシークは晩年、肥満に苦しむことになりますが、若い頃は容姿も評判となっており、「美しい横顔を女性たちに見せる」ため、ピアノをこの向きに置いたのだと言われています。
その後、この配置がどのようにして定着したかについては、「実際に音響が評価されたから」や、「他のピアニストも横顔を見せようと真似したから」など色々な説があり、よくわかっていません。
実は、ドゥシークもクレメンティ同様、当時としては非常に斬新なピアノ・ソナタを数多く残しました。楽譜の見た目からもわかりやすい例として、1807年に書かれたソナタ「パリへの帰還」から、第3楽章メヌエットの冒頭を挙げておきます。見た所、何やら複雑そうですが、実に自然なハーモニーの流れを持ち、リピートした時も綺麗につながる辺りは見事の一言です。

ソナタ「パリへの帰還」の音源はこちら
YouTubeで検索:Dussek le retour a Paris
ドゥシークの曲は作品番号が資料によって違い混乱が生じていますが、見つかった動画ではOp.64と表記されています。