ピティナ調査・研究

クイズの答え

音楽へのとびら~ピティナ・ピアノ曲事典 Facebook アーカイヴス
クイズ

掲載日:2012年10月3日
執筆者:上田泰史

イタリア語で「Piano」といえばもちろん楽器のピアノ、そして遡れば「弱い音(声)で」という意味です。昨日のクイズは、この「ピアノ」という語が名詞として使われた場合のもう一つの意味は何でしょう、ということでした。既に頂いたコメントで答えがほぼ出ておりますが、正解は「階」でした。ではなぜ「階」が楽器の「ピアノ」と同じ言葉であらわされるのでしょうか。楽器のピアノは、17世紀末~18世紀初頭に登場した楽器で、鍵盤と連動するツメで弦をはじくチェンバロとは異なり、ハンマーで弦を叩くので、鍵盤を打つ指の力の強さによって音の強弱、すなわち「フォルテ(強く)」「ピアノ(弱く)」の変化が付けられるというのが重要な利点でした。それゆえ、18世紀~19世紀中葉にかけて、ピアノは「ピアノ・フォルテ」や「フォルテ・ピアノ」と呼ばれていました。これが次第に「ピアノ」だけになったというわけですが、もともと「piano」という言葉には単に「弱い」・「弱く」以外に「平らな」という意味があります。波風が立たず「平ら」であるということは「弱い」という程度を表す形容詞にも通じます。これが名詞になると「平面」という意味になり、各階の床ということで「階」という意味になります。
写真はヴァイオリンの街、クレモナのホテル4階の表示。楽器のピアノはどこにもありません。

調査・研究へのご支援