25の旋律的練習曲(25のやさしい練習曲、1844)

25の旋律的練習曲(25のやさしい練習曲、1844)
掲載日:2012年4月14日
執筆者:上田泰史
ヘラーとドビュッシー
今週はもう少しヘラーを見てみましょう。ショパン、シューマンときて「ドビュッシーとヘラー」?と思われるかも知れません。ドビュッシーはパリ音楽院在学中、マルモンテル教授のクラスでピアノ科に在籍していました。その時、ドビュッシーが勉強したのはまさしくヘラーの作品でした。1878年、音楽院の定期試験でこのフランス人青年はシューマンの《幻想曲集》作品12の第3番〈何処へ?〉を素材としたヘラーの《シューマンの主題による変奏曲》作品 142を演奏しています。「今日の一曲」はそれよりずっと前、1844年に出版された《25の練習曲》作品45から第1曲です。右手の音型、旋律はドビュッシーの《子どもの領分》第1曲「グラドゥス・アド・アルナッスム博士」に通じるところを感じませんか?
- 事典には「小川」というタイトルで掲載されていますが、ヘラーのオリジナルにはタイトルがありません。事典の見出しになっている「25の旋律的練習曲」「25のやさしい練習曲」というタイトルもまた後に教育者や出版社が勝手に付けたタイトルです。各曲のタイトルと共に、こちらの方が普及してしまっているので事典ではこのまま掲載しています