ピティナ調査・研究

第97回 宮川三男『枯葉色の風景画』『落ち葉の戯れ』

今月、この曲
宮川三男『枯葉色の風景画』『落ち葉の戯れ』

ミュージックトレード社『Musician』2018年10月号 掲載コラム


コンクールやスポーツの大会なども一段落するこの季節、まだまだ残暑は続くかも知れません。でも、日ごとに日没は早くなり、日の出は遅くなります。確実に秋は近づいてきています。

学校で、友達に「何か弾いて!」と言われたときなど、1分程度で弾ける曲が数曲ほどあったら、どんなに便利でしょう。男子だったらモテますよね。そのような曲を10月にちなんで探してみました。

私が30年来愛用している、大村典子先生編纂の『ピアノ・ピース・セレクション1 歳時記 A』の中に、ぴったりの曲がありました! 宮川三男作曲の『枯葉色の風景画』と『落ち葉の戯れ』、いかがでしょう。どちらもイ短調で、楽譜の注意書きにもあるように、"発表会では、セットにして弾くと効果的"です。

枯葉色の風景画
Andantino 8分の3拍子
少々センチメンタルで、流れるようなスケールと、付点の音型がたくさん登場します。中間部は、和音の移り変わりとチェロの支えが美しく調和して詩的です。

落ち葉の戯れ
Allegro 4分の2拍子
分散系の快活な左手伴奏に乗って、右手は5音のスケール中心です。アーティキュレーションに心を配って、生き生きとしたメロディを活躍させて、長調と短調の素早い入れ替わりを楽しんでいただけます。

どちらも3部形式ですから、主部をしっかりさらうと良いですね! 音質や拍感をパッと変えて、続けて弾いて2分少々です。せっかくですから、春夏秋冬どの季節でもリクエストを受けて立てるように、ピアニストとしては準備したいことろです。

今年の夏は、40度などという、信じられない気温の日も多かったですね。ぜひ、この2曲を先取りして練習して、楽しみな秋に備えてくださいね!

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