第45回 マーサ・ミアー『こびとのマーチ』
晴れ渡った空、木々の緑、そして色とりどりの花々に心踊る季節になりました。ゴールデンウィークも終り、ピカピカの1年生のランドセル姿も板に付いてきましたね。新しい学級や友達にも慣れ、皆生き生きと学校生活を満喫している事でしょう。春からピアノを習い始めたお友達もレッスンに慣れてきた頃ではないでしょうか。
今月は、ピアノを始めて間もないお子さんのステージデビューや発表会にお薦めの「こびとのマーチ」のご紹介です。この曲は、アメリカの女流作曲家のマーサ・ミアーが、親しみやすい曲で楽しみながらピアノ奏法の基礎を学べるように作曲した曲集「ひとりでピアノいっしょにピアノ」の中の1曲です。弾きやすいのに聴き映えするので、私の生徒達には大人気の曲です。
演奏のポイントとしては、右手は1音1音しっかりした音で、手首をすくい上げるように使って綺麗なレガートで弾きましょう。3度は上の音を良く出して、アクセントは小人のいたずらっぽさを表現しましょう。左手の5度の伴奏は、軽やかな規則正しい良く揃ったスタッカートで弾きましょう。Gnome(ノーム)とは「地の精」という意味がありますから、中間部は地面の中から出てきた小人の変化を表現し、最後はまた地面の中へ消えていくようなイメージで演奏するのも面白いと思います。
初歩の段階の曲でありながら、とても広い音域で演奏する事も魅力の1つです。ステージで演奏した曲は想い出深く残るものです。1つのステージが終わるとすぐに「次のステージは○○ちゃんには何の曲がいいかな」と考えている私、素敵な曲と出逢えるたびに、生徒1人1人の顔が浮かびます。
子供達には、それぞれの「今の自分」にぴったりの曲を自信満々に演奏してほしいものです。そして次のステージが待ち遠しくなるような、楽しくてピアノがどんどん好きになるような経験を沢山積んで、この季節に負けない輝きを放っていってほしいですね。