ピティナ調査・研究

第41回 バート・ハワード『Fly Me To The Moon』

今月、この曲
バート・ハワード『Fly Me To The Moon』

ミュージックトレード社『Musician』2014年1月号 掲載コラム

楽譜画像

今年もバレンタインの季節がやってきました。街中がハートに飾られると、なんだか温かい気持ちに包まれます。日本では随分長く「女性から男性にチョコを渡して告白する日」というのが一般的なイメージでしたが、西洋では男女問わず「想い人にカードや贈り物をする日」ですね。

私がご紹介するのはBart Howard作曲の「Fly Me To The Moon(邦題:私を月まで連れてって)」です。いわゆるジャズのスタンダードナンバーで、スローテンポからアップビートまで驚くほど数多くのアレンジが存在しています。また国内外を問わず今もたくさんのアーティストによってカヴァーされ愛され続けている曲でもあります。すんなり心に入りこむメロディラインは誰しもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。日本では1995年にアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディングテーマ曲に採用されたことで、更に世代を問わず根強い人気のある曲になりました。

発表当初は「In Other Words」というタイトルだったというこの曲。ちょっと拗ねたように恋人に自分への愛を問いかけながら、最終的には自分の気持ちを相手にまっすぐに伝える素敵な歌詞がついています。恋する相手にこんな風に可愛らしく甘えられたら、チョコレートの力など借りずとも、世の男性諸氏の心はすっかりとろけてしまうことでしょう。

今回ご紹介する楽譜は、初級者にも比較的弾きやすい難易度のものですので、ジャズアレンジに初めて挑戦される方にもおすすめです。全体に音の数が多くはないので、リズムを感じにくい場合には、まずこの曲の持つ雰囲気をしっかりつかんでから弾いてみてください。あまり生真面目にならずに、大切な人に歌を贈るようなつもりでやわらかに表現してみましょう。

世界中のすべての恋人たちが幸せでありますように。そして、恋人や大切な家族と一緒に過ごす人ばかりではなく、友人に囲まれてわいわい楽しく過ごそうと思っているあなたも、それから今年は仕事に追われて終わってしまいそうなあなたにも。
Happy Valentine's Day!!