ピティナ調査・研究

第18回 ガイ・ウッド『My one and only love』

今月、この曲
ガイ・ウッド『My one and only love』(ケイ・エム・ピー)

ミュージックトレード社『Musician』2012年2月号 掲載コラム

楽譜画像

寒い毎日が続いています。凍えそうな2月のホットなイベントといえば、やはりバレンタインデーですね。もともとは3世紀頃にローマで殉教した聖ヴァレンティヌスに由来する記念日だったそうですが、日本ではいつの頃からかすっかりチョコレートの日になっていて、更に最近は女性同士でも友チョコをあげたりするんですね。
かく言う私も貰えると、かなり嬉しいです。今年も貰えるかなーなんて(笑)。そこで、今月の曲はおなじみのマイファニーヴァレンタインかと思いきや、あえてひとつひねってみました。

同じジャズのスタンダードナンバーから、マイワンアンドオンリーラブ、曲名を邦訳すると「かけがえのない愛」でしょうか。歌詞には大好きで大好きでたまらない恋人への思いが熱く語られています。メロディも歌詞に負けずおとらず、甘く切なくとても美しいバラードです。楽譜もいろいろな編曲で出版されていますが、私のお薦めは安田芙充央さん編曲のものです。

左手はシンプルに、ほぼ2分音符と4分音符のコードで書かれているので難易度も高くはなく、その分、右手はサビからアドリブ部分が弾きごたえのある程度に書かれているので、出来上がりはなかなか本格的に聴こえます。このようなスローバラードをピアノで弾く時に大切なのは美しいメロディをいかに歌うかということです。歌詞を見れば文節でメロディのフレージングも分かりやすいですね。スタンダードナンバーの中でも大変に多くのミュージシャンが名演を残している名曲なので、お手本CD以外にもヴォーカルや管楽器で演奏されたCDを聴いて、イメージをふくらませるのも良いでしょう。ちなみに私の一押しは日野皓正!「トランスブルー」というアルバムに収録されています。

寒い寒い夜......皆様もご自分のone and onlyを想って心温かにお過ごし下さい。