第7回 ファイナルファンタジー~誓い~サンレス水郷
ミュージックトレード社『Musician』2011年3月号 掲載コラム
日本のみなさん、こんにちは。イタリアでは3月初旬に『フェスタ・デラ・ドンナ(女性の日)』通称ミモザの日があって、男性が日頃の感謝の気持ちを込め、奥さんや恋人、知り合いの女性に、黄色いミモザの花を贈ります。お花屋さんや道行く女性の手にも、もちろん食卓のテーブルにも黄色のかわいらしい花が溢れます。
日本では3月と言えば終業式や卒業式。新年度を前に新たなチャレンジのチャンスですよね。ジャンルを超えてポピュラーにも挑戦してみたい、でも簡単なアレンジでは物足りない、ドラマティックで弾き応えのあるポピュラー作品を探しているあなたに「ピアノ・コレクションズ ファイナルファンタジーⅩⅢ」をお勧めしましょう。
昨年3月に発売の『ファイナルファンタジーⅩⅢ』から人気の楽曲を、作曲者の浜渦正志さんご自身が超絶技巧のピアノソロに編曲し、私がピアノを弾かせていただいて、ミラノで録音したのが「ピアノ・コレクションズ ファイナルファンタジーⅩⅢ」です。CDにあわせて楽譜も発売になっているので、録音で使った楽譜をそのままみなさんにご覧いただけます。
収録にあたり、クラシック的要素とポップスのアドリブやフェイクを加えた演奏を浜渦さんと目指しました。オリジナルの譜面にコードネームを書き込んで、1回ごとにほんの少し即興を加えて演奏したので、出版譜とCDの演奏の違いを見つけられるでしょう。これこそが音楽の醍醐味。バロックの演奏にも通じる、まさに装飾の面白さです。
リズムとグルーヴ、コードワークのツボさえ押さえれば、弾きこむほどに自由な音選びの可能性が無限にひろがります。
この楽譜は上級者向けですが、浜渦さん監修で「楽しいバイエル併用 ファイナルファンタジー ⅩⅢ」も出版されています。2冊をミックスして、あなただけのバージョンを作ってみるのも楽しいかもね。