第1回 ピアノ絵本館『ヘンゼルとグレーテル』
「ヘンゼルとグレーテル」といえばグリム童話。音楽の世界とは離れたところにありそうですが、この童話をもとに作曲された同名のオペラがあり、ひいては生徒さんたちにも楽しんで弾けるように、やさしく編曲されているピアノ連弾曲があります。私はそれを取り上げてみたいと思います。
ピアノ絵本館11 ピアノ連弾集『ヘンゼルとグレーテル』です。この曲集では"童話の朗読と11曲のピアノ連弾のリレー演奏"で物語を進めていきます。各曲は数分前後で弾くことができ、また11曲の演奏と朗読を加えて40分前後でまとめられていますので、進行感のあるステージになります。生徒さんにとっては、大勢の人と一つの大きなプログラムを作り上げるという協調性を養う場を通して、ピアノソロの演奏とは異なる達成感を得ることができます。
発表会やクリスマス会などのイベントのためのプログラムとしても、生徒さん、友人、ご家族、先生もご一緒のチームワークの中での楽しさがあり、絶好の曲になると思います。物語を作り上げるという目的を他の方と共有することで、孤独に明け暮れることの多いピアノの練習に弾みがつくのではないでしょうか。
そしてこの曲集はアイデア次第ではアレンジの幅を多様に広げることができる曲でもあります。楽譜通りにピアノ連弾のみ演奏するほかに、ピアノに加えてリコーダー、フルート、クラリネットなどの管楽器、またヴァイオリンやチェロなどの弦楽器などとのアンサンブル、さらに歌を入れたり、朗読する登場人物に衣装や動きをつけたり、はたまたスクリーンを設けて場面ごとに絵を映したりなどなど。
これをオペラ、オーケストラ、バレー、ミュージカルなど他の音楽ジャンルへの入門の手ほどきにすることは、音楽を生涯の友としてほしい生徒さんのための優れたアイデアの一つとなりそうです。来たる9月5日に開催される、ピティナ・ピアノステップ福岡西地区で、この作品を演奏する予定にしていて、今からワクワクしています。