ピティナ調査・研究

第12回:八木誠也さん(やぎ楽器/兵庫)

第12回:八木誠也さん やぎ楽器/兵庫

私たちピティナの活動は、各地域の音楽教室の先生方の熱心な活動によって支えられています。しかし音楽教室だけでは、地域固有の複雑な人間関係や利害関係が絡むことも多く、どうしても一丸となってまとまりにくいのが実情です。それでも各支部が、活発に活動できているのは、黒子となって束ねることに誠心誠意尽くして下さる方々がいるからです。
私たちは、そのような方々を、「エリア・ミュージック・サポーター(AMS)」とお呼びし、これまでご一緒した取り組みを、この連載を通じて1年にわたりご紹介して参りました。その中には他の地域でも応用できる取り組みや、生徒集めの役に立つ数多くの情報が寄せられました。あまりに「いい話」でほろりとすることも・・・
ご紹介したAMSの人数は、2ケタに乗りましたが、調べれば調べるほど奥が深く、ご紹介したい方は増えるばかりです。今後もできる限りご紹介していきますので、地域の活動にお役立て願います。 引き続き、大内孝夫さんによるインタビューを通じたシリーズをお楽しみ下さい。

取材:大内孝夫


2020年3月、ピティナに新たな支部が誕生した。ピティナ姫路支部がそれである。
姫路は「天下の名城」として名高い姫路城の城下町だが、2018年から「姫路音楽祭」が開催されるなど、地域ぐるみで音楽活性化に取り組んでいる街でもある。
折しも新型コロナウィルスの影響で、3月25日に開催予定だった姫路支部発会式は中止となったが、7月28日、感染防止対策を徹底した上で、発会式を兼ねた「会員の集い」が開催され、事務局を担うやぎ楽器の八木誠也営業部長に、今後の抱負について伺うことができた。


この度は姫路支部発足おめでとうございます。

八木誠也さん
(株式会社やぎ楽器 営業部長)

ありがとうございます。3月に支部を発足させて頂いたのですが、あいにくのコロナ禍で、コンペ姫路地区予選やステップがことごとく中止になり、正直とても残念な思いでした。しかし、今日こうして会員の先生方と集まることができ、やっと前に進めることができた、というのが実感です。これから頑張るぞ、と改めて思っているところです。

丁度1年前に姫路店を今の場所に移転され、広々とした売り場とともに、最新設備の音楽教室や演奏ホールも作られました。すばらしいですね。

ありがとうございます。長かった昭和・平成を経て、令和という新たな時代が始まりました。楽器店業界も変わらなくてはいけない、との強い想いから、この度、弊社の姫路店を一新しました。以前は各楽器店や先生方が個々に活動を展開し、ライバルのように競い合うような時代でした。これからは、様々な楽器店や先生が一丸となって団結することで、音楽業界全体が盛り上がっていくと私は考えます。
そのような考えから、地域の先生方、音楽家の皆さまに気軽に使っていただけるようなホールを造り、「ここから成長・飛躍する!このホールから発信する!」という想いを込めて、「Rising Hall(ライジングホール)」という名前を付けました。
また講師の方々のコミュニティーの場でもお使いいただきたく、ピティナ支部を運営させて頂くことにしたのです。
ピティナ支部としての活動であれば、メーカー間の枠を越えて、純粋に地域の音楽文化の発展として他の楽器店とも協力し合えますからね。
姫路市内だけではなく、将来的にはさらに近隣を含め幅広く連携していきたいと思っています。とはいえあまり大風呂敷を広げてもいけませんから、まずは私たちができることを一つひとつ始めてみます。

地域の楽器店が協力するメリットは、どんなところにあるのですか?

最も大きなメリットは、協力することで地域全体の音楽レベルを高めることができることです。私どもやぎ楽器が単体で出来ることは、ある程度限られています。また、やぎ楽器としての個性・特色のみが出てしまい、内容が単調になってしまう可能性もあります。
しかし複数の楽器店同士・先生同士が、所属の枠組みを超えて協力し合ったら、様々な特色・要素が混ざり合い、それぞれの良い部分を強化できます。そしてもっとたくさんの人々に満足してもらえるような多様なサービスが可能となり、結果として地域全体の音楽文化の発展に繋がります。
各楽器店・先生方そのものの特色は、個性としてもちろんこれからも大切にする必要がありますが、それぞれの要素を組み合わせ、地域全体で音楽の輪を広げていく時代だと思います。そのため私たちが主催するコンサートには、他の楽器店や教室で習っている方も自由にご参加していただけるようにしています。

2020年7月28日 ピティナ姫路支部 レクチャー&会員交流会
 於:やぎ楽器姫路店内2F 「ライジングホール」

そのひとつ、‘fun!fan!’Ensemble Concertについて教えて頂けますか?

「繋ぐ」をテーマに、生徒もお子さんばかりではなく、大人もOK、さらには先生にもご参加頂くコンサートです。みんな繋がろうよ!という意識で開催しています。特にピアノの先生には、普段の指導する姿だけでなく、先生自身が演奏する姿、音楽を楽しんでいる姿を生徒に見せることが出来るよい機会になると思います。先生が演奏を楽しんでくれれば、生徒だって楽しめますし、音楽家としての先生の本当の姿を見ることが出来ます。それも明るい曲を、アンサンブルでできたら最高だろうと思って、先生には明るい、リズム感のある曲の選曲をお願いしています。

大人専門のコンサートもあるとか。

ええ。毎年11月3日に開催し、もう今年で15回目になります。昨年の最年長参加者は、75歳。演奏は失敗しても、5回までやり直し可です(笑) アットホームで和気あいあいとした雰囲気のためか、参加希望者が増えていて、開催日数を増やすことも考え始めています。定年退職後、第二の人生の楽しみとして音楽を始め、レッスンだけでなく人前で演奏する事に楽しさを見出された方、他の参加者の演奏を聴く大切さ、音楽仲間を作る喜びなど、様々な理由で楽しんで頂いています。

2020年7月19日(日) 第3回姫音祭プレイベント やぎ楽器ライジングホールよりライブ配信

他にも新たな取り組みがあるのですよね?

2018年から姫路市の主導で「姫音祭」が開催されています。開催時期は11月なのですが、今年は7月19日にオンラインでプレ音楽祭を行い、ユーチューブで生配信しました。このライジングホールと姫路市内の他会場、さらに六本木の会場とも繋いで姫音祭が全国に配信されその様子が全国紙や地方紙、ケーブルテレビにも紹介されました。 参加者からも、「色々な事が中止となる中、数少ないイベントはとても貴重な機会なので、前向きに挑めた」などとご好評を頂きました。


やぎ楽器は、新型コロナによる「新常態」への「変化」を新たな「機会」と捉え、これまで入念に準備し、温めてきた構想を一気に実行に移した。それが今、成功している。これだけ活気のある楽器店は数少ないだろう。現在の勢いは、必ず支部活動に活きるはずだ。何より八木誠也営業部長の語る熱量が、それを雄弁に物語っている。
八木さんは「姫路の小さな楽器店」と謙遜するが、その目線は姫路から兵庫、さらにその先に広がる。全国規模のピティナこそ、八木さんにふさわしい舞台とみた。姫路から、今、新たなうねりがピティナに起きる。乞う、ご期待!

取材日:取材日:2020年7月28日

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