ピティナ調査・研究

夏休み特別キッズプログラム2022レポート ~特級を聴いてお手紙を書こう!

夏休み特別キッズプログラム2022レポート
~特級を聴いてお手紙を書こう!

2022年夏の特級でも「夏休み特別キッズプログラム~特級を聴いてお手紙を書こう!」の企画を実施しました。小学1年生から高校生までの子どもたちがお手紙を送ってくださり、ファイナリストたちから一人一人への心のこもったお返事も送られました。また今年は、過去に企画に参加しお手紙のやり取りでモチベーションをアップさせたキッズたち自身のコンペでの躍進にも目を見張るものがありました。

企画の概要はこちら


2022のお手紙のやり取りより(抜粋)
ライブ配信で聴いた後、頭でずっと演奏がくり返されています。音と気持ちがきれいな演奏で、どうしたらこんなにすてきな演奏ができるんだろうな~!と思いました。私は舞台に立った時にはとてもきんちょうします。明日人さんはきんちょうしていましたか?(小4)
自分は毎回本番前、帰りたくなるほど緊張します。でも、こんな素晴らしい曲を舞台で表現できるなんて、自分は幸せ者だ!」と自分で自分をはげましています。(北村明日人さん)
川の水が流れるように、1つ1つの音がきれいで、とてもなめらかですごいと思いました。(11歳)
北村さんのトリルが月のようにかがやいて、とてもすてきでした。(7歳)
実際にテンペストでは月を、コンチェルトでは水をイメージしていました!イメージって大切ですね(北村明日人さん)
今回はじめてB級にチャレンジしました。(中略)聞いていて楽しい気持ちになりました。ぼくもこれからもっとピアノをがんばって、ピアノを楽しくひけるようになりたいです。(小3)
自分も初めて出たピティナはB級でした。(中略)自分は演奏する時は「この曲はなんて幸せな曲なんだろう?」「こんな曲を表現できて本当に楽しい!」という気持ちで弾いています。楽しい気持ちになってもらえて嬉しいです!これからも一緒にピアノを楽しみましょう!(北村明日人さん)
サントリーホールで顔が見えるピアノの前で聴きました。ラヴェルが一番好きでした。パーカッションがたくさん出ていて楽しそうでした。(小6)
サントリーホールで聴いてくださったんですね。僕もラヴェルのコンチェルトが大好きで、とても素晴らしいホールで弾けて幸せでした!(鶴原壮一郎さん)
音のつぶがそろっていてきれいでかっこよかったです。北村さんみたいなかっこいい音が出せるようにがんばりたいです。(小1)
自分は綺麗な音を出すために、公園に行ったり、水族館に行ったり、プラネタリウムに行ったりしています。そういった、自然を感じられるものにふれていると、自分の音も生き生きしてくるように感じます。(北村明日人さん)
私は思うように弾けないもどかしさに焦ってしまい、気分が落ち込んでいました。そんな時に神宮司さんのピアノを聴いて、「こんなにも理想的でキラキラした夢みたいな音があるんだ」と衝撃を受けて、私も神宮司さんのように弾きたい!!と思い、前よりも練習が楽しいと感じるようになりました。だから私に感動と活力を与えてくれて、ピアノは素敵な楽器だということを気づかせてくださった神宮司さんには感謝してもしきれません。(17歳)
演奏の方でも最後の最後までに思うように弾けず、焦りや不安もあって、精神的にも体力的にも今までで一番キツかったです。シューマンの交響的練習曲は特に苦労して、なぜこの曲を選んでしまったのかと思うほどでした。でもそれを大好きと言ってくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。(神宮司悠翔さん)
冬香さんのチャイコフスキーを聴いて、冬香さんのピアノが大好きになりました。ファイナルの後も、冬香さんの演奏を毎日聴いています。(11歳)
応援しながら聴いてくれていたことが伝わるお手紙でとてもうれしかったです。(中略)チャイコフスキーのコンチェルトをいつか弾ける日を楽しみに、これからもピアノがんばってね!(森永冬香さん)
ファイナリストたちからのコメント
北村明日人さん(特級グランプリ)
キッズたちからたくさんのお手紙を頂いて、自分が子供の頃に見ていたグランプリを思い出しました。小学生の頃の私にとってグランプリはただただ憧れの存在で、いつか自分もあの人みたいになりたい!と思っていました。15年以上経った今でも、その頃のグランプリの方に対しての尊敬の気持ちは消えていません。今回の企画を通して、今は自分がたくさんのキッズに見てもらえているという嬉しさと共に、彼ら・彼女らの目標であらねばという責任を感じることができました。
神宮司悠翔さん(特級銀賞)
ずっと手が届かないと思っていた憧れの特級。そんな大きな舞台に参加するということは、僕にとって挑戦で、毎日必死にピアノと向き合った日々でした。思うようにいかないことも、くじけそうになることもたくさんあって本当に大変でしたが、夢のようでもあり、素晴らしい経験となりました。そんな僕にお手紙をいただき、とても励まされました。今回の特級を聴いて、僕がそうであったように、特級に憧れる人たちが増えてくれると大変嬉しいです。メッセージありがとうございました。皆さんと一緒に、これからも頑張っていきたいです。
森永冬香さん(特級銅賞)
たくさんの方に特級での演奏を聴いていただけてとても幸せでした。皆様から心温まるお言葉や素敵なイラストをたくさんいただき、とても嬉しく大変励みになりました。お手紙を読んでいて、自分の子供の頃を思い出して懐かしい気持ちになりました。皆様からいただいたお言葉を胸にこれからも音楽と向き合っていきたいと思います。このようなプログラムを企画していただき、ありがとうございました。
鶴原壮一郎さん(特級ファイナリスト)
僕の演奏を聴いていただけただけでなく、お手紙までいただき本当に嬉しいです。似顔絵や作文を書いてくださった方もいて大きな励みとなりました。また子供たちだけでなく、色々な方々からいただける応援がコンクール期間中とても力になりました!ありがとうございました。子供時代の感受性は唯一無二です。色々な音楽を聴いたり、遊んだり、たくさんの経験をして大人になってほしいなと思います。僕もまだまだ子供なので色んなことにチャレンジしていきたいです!
過去の企画参加者の躍進目覚ましく

2020年度、コロナ禍でほとんどの級のコンペティションが開催できなかった夏、特級のYouTube配信を視聴して、「一生懸命に弾くこと」だけでなく「一生懸命に他人の演奏を聴き、応援すること」に力を注いでくれた子たちがいました。その子たちは、視聴と直筆のお手紙の交流を通して、特級ファイナルという頂点で競演する人たちを「雲の上の世界の人」ではなく、「自分たちの延長線上にいる憧れの存在」として捉え、「あの人たちみたいになりたい」という明確な像をイメージすることができました。ファイナリストたちは、そうした後輩たちの応援や悩みに真摯に耳を傾け「一緒に頑張ろう」と語りかけてくれました。

この音を生で聴いてみたい!と思ってコンサートに行って、サイン会で直接お手紙のお礼を言うことができました!
特級で大ファンになり、毎朝YouTubeで聴いています!
2020年で感動して以来、毎年特級の配信を楽しみにし、2次予選からすべて聴いて応援しています
配信で感動したあのサントリーホールに、今年は生で聴きに来ました!
お手紙で『私も来年は全国大会に行きたいです!』と書いたけれど、今年本当に全国大会に行くことができました!名前を見てくれていたら嬉しいな!
実は親子でピアノに行き詰りを感じていたのですが、配信で見た憧れの人から「一緒に頑張ろう」と語りかけてもらったおかげで、「またピアノがんばろう」とモチベーションを取り戻しました。
息子にとって初めて繋がるピアニストさんとのお手紙を介して、こんなに身近に感じるやり取りまでさせていただけるとは思っていませんでした。コンクールに参加したことで学ばせていただいたことの大きさと人とのつながりに、本当に心から感謝気持ちで一杯です。

自分が目指したいような憧れの存在を持つこと、そして自分を最大限に表現しようとひたむきに打ち込む姿のカッコよさに触れること、自分も応援し・応援される一緒に頑張る仲間なのだと感じることの、子どもたちへ与える力の大きさを改めて感じた夏でした。