テーマ型情報交換会レポート:電子ピアノで学ぶ生徒への指導を考える
テーマ型情報交換会レポート
電子ピアノで学ぶ生徒への指導を考える
2022年7月29日(金)、テーマ型情報交換会が実施され、「電子ピアノで学ぶ生徒への指導を考える」というテーマのもと15名が集まりました。たくさんのアイディアを共有しましたので、その一部をQ&A方式でご紹介致します。
電子ピアノで練習する生徒さんへの声掛けの工夫はありますか?
- 「音を聴くように」と伝えています。指を動かすだけでなく、音のイメージやバランスを意識するように声をかけています。(大滝 恵美先生/東京)
- 住宅事情もあり、電子ピアノの生徒が半数以上です。音漏れが気になるのかボリュームを下げていたり、打鍵の音が気にならないようタッチを弱めてしまうことがあるので、ある程度ボリュームを上げ、ダイナミクスが聴き分けられるくらいの音量で練習するように伝えています。(長谷川 舞子先生/東京)
- タッチに意識が向きづらいので、レッスンでは優しいタッチを心がけるようにしています。(高橋 聡子先生/群馬)
- 小学校高学年になると家族に練習を聞かれたくない気持ちが芽生え、夜の時間帯にヘッドホンをつけて練習する生徒もいます。強弱の表現に問題が生じる場合が多いので、きちんと音を出して練習するように伝えています。(柏木 静子先生/神奈川)
- 電子ピアノだと指の筋肉が育ちにくいので、リハビリ用のハンドボールや洗濯ばさみなどを使って指の筋トレをしてもらいます。(佐々木 成子先生/青森)
アコースティックピアノの提案は、どのようにアプローチしていますか?
- コンクールへの参加を勧めた際に、ピアノについてもお話しています。お母様の理解は得られても、お父様から反対されてしまうこともありますが…。また、電子ピアノだと指の形が整いづらいと感じるので、その点は伝えています。(佐々木 智子先生/東京)
- アコースティックピアノは電子ピアノと違い、弾き方によって音色を変えることができると話します。(樋口 薫先生/東京)
- レッスンの時はもちろん、発表会でもなるべく良いピアノを弾いてもらうことで、音色の違いやアコースティックの良さを感じられる機会を作っています。(中村 民子先生/東京)
- 発表会のプログラムに、保護者の方との連弾を組み込んでいます。レッスンを重ねるごとに、、保護者の方がご自宅の電子ピアノと、レッスンで弾くアコースティックピアノの違いを体感してくださり、買い替えを検討される方が増えました。(長谷川 舞子先生/東京)
- 発表会でペダルを使う曲に挑戦しようとしたとき、保護者の方から「買い替えた方が良いですよね?」と相談がありました。(大滝 恵美先生/東京)
- コンペ前にピアノの販売会に行ったり、グランドピアノがある練習室を借りるよう促します。ご父兄含め、会場に行って体感することで少しずつピアノの違いがわかってきて、コンペをきっかけに買い替えを検討される方が増えていきます。予選通過などの節目が、ピアノ購入を考えるきっかけになると思います。(F.S.先生/千葉)
ペダルの違いや、それに対する声掛けの工夫はありますか?
- 床に足形のマークをつけて、かかとを床につけたまま足を動かす練習をしています。踏む力加減はレッスン中に数をこなして身につけてもらうしかないと考えています。(F.R.先生)
- 全身が前のめりになって、足の力だけでうまく踏めない子が多いですね。電子ピアノだとペダルを踏んでもほとんど響かないので、ペダルの練習をする意味を感じにくいのだと思います。音が響く美しさや喜びをレッスン中に体感してもらい、保護者の方にも違いを感じてもらうことが一番だと感じます。(F.S.先生/千葉)
電子ピアノのメリットや活用法はありますか?
- やはり音色を自由に変えられることだと思います。バッハの作品をチェンバロやパイプオルガンの音で練習するのはとても有意義でした。(中村 民子先生/東京)
- 著名な先生方も電子ピアノに前向きな意見をお持ちだったので、考え方が変わりました。最近の電子ピアノは本物のピアノに近いタッチになっているものもあり、一口に「電子ピアノ」といってもかなり幅広いので、実際に生徒が使っている楽器について研究していきたいと思います。(樋口 薫先生/東京)
- 未だにこれだけ多くの人がピアノを始めてくれるのは、電子ピアノの普及による部分も大きいと思います。電子ピアノを上手に活用することと、アコースティックピアノで演奏技術を磨くこと、どちらも並行して取り組んでいきたいです。(大滝 恵美先生/東京)
参加しての感想
- 先生方と悩みを共有出来たり別の意見も伺えたり、同業の方とお話出来る事は刺激になり勉強になります。(伏原 貴代美先生/東京)
- 同じ様な悩みを抱えている先生方のご意見を聞けて、大変共感できました。指の強化の問題を再認識いたしました。(渡邊 真里子先生/静岡)
- 私は自宅の他に、アコースティックピアノが置けない公共施設でもレッスンをしています。グランドピアノでのレッスンと電子ピアノでのレッスン、それぞれの違いや特色を前向きに生かす方法を模索していきたいと思います。(柏木 静子先生/神奈川)
「新しい生活様式」でのレッスンが試行錯誤でスタートしています。小さな気づき、失敗談、試行錯誤を含めた多くの情報・体験談をお寄せいただき、先生方お一人ごとのレッスンをカスタマイズするサポートができればと願っています。「生徒に寄り添って、今できる、私なりの指導」を皆様と一緒に模索していきます。注)各事例を「推奨」するものではありません。また、各記事はその時点の状況です。
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