ピティナ調査・研究

テーマ型情報交換会レポート: 演奏活動と指導の両立について考える

新しい生活様式・新しいレッスンスタイル
「新しい生活様式」のレッスンが求められる中、感染予防対策を実施しつつ、対面とオンラインの特性を生かしたレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
テーマ型情報交換会レポート:「演奏活動と指導の両立について考える」

2021年11月10日(水)、テーマ型情報交換会が実施されました。「演奏活動と指導の両立について考える」というテーマのもと8名の指導者が集まり、時間の使い方や日頃のお悩みをお話しいただきました。たくさんのアイディアを共有しましたので、その一部をQ&A方式でご紹介致します。

確保の難しい練習時間…皆さんどのような工夫をされていますか?
  • 子どもが小さい頃はアニメの英語教材を買って、夢中で観ているうちに1時間ほど練習するというのを繰り返して何とか乗り越えていました。子どものお昼寝が必要な時期はベビーモニターを使って、寝ているうちに練習・起きたら世話に行っていました。
    現在は小学3年生で、小さい頃よりだいぶ午前~昼頃に練習時間を取りやすくなりました。
    とはいえ家事や親の世話の時間は必要なので、やるべきこと・周りに協力してもらうことを精査して、買い物は宅配サービスを頼み、親には行ける日をしっかり話し合うことで調整しています。(仲本 和香奈 先生/兵庫)
  • レッスンがハードだったときは翌日の指導に響かないよう体力回復を優先しています。通常時はレッスンを夜までして、家事を終えたらもう練習の時間はない…という日々で、レッスンの合間にチェルニーを10分は必ず弾こう、と思っていますが、それ以上取るのは難しい状況です。本番前は子どもが寝静まってから2時間くらい練習に充てています。(石村 美樹 先生/福岡)
  • 演奏するのがクラシックや伴奏の時は一番集中できる夜に電子ピアノで練習しています。電子ピアノも上手く使えばプラスになると考えています。(柳平 淳哉 先生/長野)
  • 仕事が終わったあとの夜に練習することが多いですが、レッスンの合間に30分など少しずつ譜読みを進めています。学生時代よりも、先に情報を整理して練習を分解して取り組むようになりました。
    あとは、プログラムをずっと同じにしないよう心がけつつ、すべて新曲はハードなので、半分は新しい曲になるようにローテーションするなどしています。1か月前には仕上がるプログラム組みが必要だと感じています。(野上 剛 先生/東京)
  • 本番前には公民館を借りるなどして午前中ずっと弾きこんでいます。(五十嵐 育実 先生/東京)
  • 共通する話題として「アンサンブルの合わせを何回しているか」という質問も上がりました。こちらは平均で2回でした。(本部事務局スタッフより)
演奏活動と指導を両方やる事への周りの理解や反応は?
  • 「演奏は一部の優れた方のみがするもの」というような見方もありますが、演奏と指導は両立できた方がいいと考えています。自分の住んでいるエリアではコンクールに挑戦する生徒が少なく、今は自分が演奏をすることで背中を押したいという思いで頑張っています。(仲本 和香奈 先生/兵庫)
  • 指導が演奏にいきる点は大いにあるし、偉大な演奏家・作曲家も教えていない人はいないと思うので、両者を横断することで上手くいくと考えています。
    地元に様々な年代の先生方が20人ほど集まる会があるのですが、この会の先生方は「指導力を上げたい、生徒のためになりたい」という思いでインプット・アウトプットも積極的です。そういう先生同士で地域の子どもたちを育てる協力関係ができれば理想的ですよね。
    他の習い事との競合もあるし、ピアノの先生も「誰につくか」を選んでいると感じることがあります。なので、演奏もしているということは大きな強味になるのではないでしょうか?(柳平 淳哉 先生/長野)
  • 妊娠する前、演奏と指導を両立していた時に休みがなく体を壊した経験があり体調優先で過ごしていましたが、今日皆さんのお話を聞いて少しずつ演奏活動も復活させていきたいと思いました。やはり弾ける先生・勉強し続ける先生の方が、生徒さんにとっても価値が高い指導者になれると思っています。(N.A.先生/千葉)
レッスン回数や振替について悩んでいます…
  • 昔は振替を受け付けつけていましたが、生徒が増えたことで隙間がなくなり、年間レッスン回数42回、振替はしない方針に切り替えました。そのことで生徒さんが一回一回のレッスンを大切に考えてくれるようになりました。またオンラインレッスンが進んだことで、病み上がりで家からは出られないといった場合にオンラインレッスンへの切替を提案できるようになりました。(柳平 淳哉 先生/長野)
  • 昔、楽器店で教えていた時に振替なしだったので、自宅教室を開いたときにも生徒都合の振替はなしでスタートしました。レッスン回数は年40回。指導者都合の振替は回数を調整して対応しています。(N.A.先生/千葉)
必要以上に早く来てしまう生徒さん…お声かけした方が良い?
  • もし自分が空いている時間であれば、早めにレッスンを開始してその分早めに終わる方が時間の確保がしやすいと思います。(石村 美樹 先生/福岡)
  • 待ってもらえる場所がないので、「5分前くらいに来てもらえると助かります」と伝えています。(五十嵐 育実 先生/東京)

こういった、ちょっと直接お願いしづらい事項をまとめた「教室に通うときの大切なお約束」というものがあります。pdfでダウンロード出来ますので是非ご活用ください。

教室に通うときの大切なお約束
参加しての感想
  • レッスンと家庭との慌ただしい生活で息がつまりそうになっていたのですが、活躍されている先生方のお話を聞くことができて大変有意義な時間でした。
    やはり、小さな本番でも人前で演奏する機会を作って真剣にピアノに向かう時間を確保することが大切だと思いました。
    食品の宅配サービスや、レッスン振替(オンライン)を上手く取り入れるなど、無理のない範囲で自分の時間を上手く使いたいです。
    今日の情報交換会をきっかけに、少し先を見越して、生活を変えていこうと自分の方向性を見直すことができました!(M.N.先生/山形)

「新しい生活様式」でのレッスンが試行錯誤でスタートしています。小さな気づき、失敗談、試行錯誤を含めた多くの情報・体験談をお寄せいただき、先生方お一人ごとのレッスンをカスタマイズするサポートができればと願っています。「生徒に寄り添って、今できる、私なりの指導」を皆様と一緒に模索していきます。注)各事例を「推奨」するものではありません。また、各記事はその時点の状況です。

情報提供・協力者を募集中です。小さなこと、些細な気づきや経験こそ、是非お寄せください!

アンケートフォームはこちら