ピティナ調査・研究

U35会員交流会レポート:みんなの奮闘Q&A Part5

新しい生活様式・新しいレッスンスタイル
「新しい生活様式」のレッスンが求められる中、感染予防対策を実施しつつ、対面とオンラインの特性を生かしたレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
U35会員交流会開催レポート みんなの奮闘Q&A Part5

2021年2月18日(木)、35歳以下の若手指導者を対象にした「U35のための会員交流会」を実施し、9名の方々にご参加いただきました。ゲストスピーカーには福岡県の中村孝治先生をお迎えし、教室運営において重要なポイントや、「選択理論心理学」に基づいたコミュニケーション方法についてお話しいただきました。参加者には指導を始めて間もない方から指導歴10年の方までいらっしゃり、生徒募集から指導法、生徒さんとの関わり方までたくさんの質問とアイデアを共有しましたので、その一部をQ&A形式でご紹介します。

指導を始めた頃と現在でどのような変化がありましたか?
  • 私は指導を始めて3年目、来週3回目の発表会を開催します。生徒0人から教室を始めましたが、現在はコンクールに挑戦するような生徒さんも育ってきました。(T.R.先生/広島)
  • 指導経験を積むことで色々な生徒さんに対応できるようになりました。例えば3歳くらいの小さい生徒さんを教える際、以前だったら「これをさせなきゃ」と自分の中の正しさが先行し、ストレスを感じていました。しかし、「選択理論心理学」を勉強し、自分の中の正しさを捨てることを徹底した結果、お互いストレスフリーでレッスンを進めることができるようになったと感じています。(中村 孝治先生/ゲスト)
生徒募集のツールとしてWebサイトをお持ちの方は、どのように作成されましたか?
  • 知り合いのWebデザイナーにお任せしました。(柳澤 知子先生/長野)
  • 私はWixの無料プランを使って自分で作成しました。豊富な種類のテンプレートがあり、掲載したい文言や写真を入れるだけなので難しくはなかったのですが、まだ効果が出ていないと感じているので、試行錯誤しているところです。
  • 私もWixの無料プランで自作しました。正直、今のデザインに満足しているわけではありませんが、サイト経由のお問い合わせは多いので、充分に活用できていると思います。(T.R.先生/広島)
コロナ禍のオンラインレッスンで、持っている課題が少ない生徒さんのレッスン時間をどのように使っていますか?
  • オンラインレッスンでは音符カードを使った早読みなど、特にソルフェージュに力を入れていました。(柳澤 知子先生/長野)
  • ドリルやリズムたたきなど、対面のときよりも課題を増やし、レッスン前後に保護者と写真や動画のやり取りをした上で、理解度を確認する作業をレッスン内に行っていました。(中村 孝治先生/ゲスト)
今まではコンスタントに発表会を開催していたのですが、今年はコロナの影響で開催の目途が立っていません。コロナ禍でどのように発表会をされていますか?
  • 来週発表会を控えています。ホール内で密にならないよう、定員を客席数の半分に絞り、家族ごとに座っていただくことにしました。(T.R.先生/広島)
  • 先日発表会を開催しました。人数を半分ずつのグループに分け、部ごとの完全入れ替え制にしたため、小さな会場でしたが、密になることなく終えることができました。(本間 優先生/新潟)
  • 昨年7月に実施し、150名定員のホールに15名ほど参加しました。私も半分ずつの入れ替え制にし、感染症対策について事前のレッスンや開演前にも注意喚起をしました。思い出作りのために発表会は開催したいけれど、生徒さんやご家族の協力も必要だということをお伝えしたことで、無事終えることができました。(川島 絵里香先生/東京)
  • 開催に向けて準備をしています。4人の先生が2日間かけて行う大規模な発表会、毎年ほぼ全員が参加していましたが、今回は希望者のみに絞りました。DVDの販売もしているため、今年は家族のみの来場に制限をしようかと考えています。(中武 裕華先生/大阪)
これから上達しそうな生徒さん、30分から1時間のコースにステップアップさせたいと考えているのですが、どのように促したらよいでしょうか?
  • まさに僕の教室でもレッスン時間のステップアップを推進中です。30分のレッスンが1時間になると、1つの曲に対して深く掘り下げることができ、学べる量は倍ではなく、3倍にも4倍にもなりますよね。レッスン時間を延ばすことでどれだけのメリットがあるのかを親御さんに丁寧に説明することを心がけています。その際に学習進度表などのわかりやすい資料を作り、具体的に未来を描くことで、より保護者の方に納得してもらえると思います。(中村 孝治先生/ゲスト)
先日、レッスン中の態度が悪かった中学生の生徒にとても厳しく指導をしてしまいました。果たしてこれでよかったのか、もっと前から指導者としてできることがあったのではないかと悩んでいます。
  • 中学生は大人に変わる大切な時期。私自身、中学生のときに一度ピアノと距離を置いたこともあり、生徒さん自身のピアノに対する気持ちが変わってしまうことには共感できます。今ピアノがあまり好きではないのか、それともピアノに向かえない自分が嫌になってしまったのか、生徒さんの思いと先生の思いを正直にぶつける時間を作ってみるとよいかもしれません。(阿食 静香先生/神奈川)
  • 「選択理論心理学」では、相手の望んでいることにアプローチをします。1年後や3年後にどんな自分になっていたいのか?と生徒自身に考えてもらい、もしもピアノを続けたくないというのなら、辞めるという選択もアリだと思います。改めて自分を見つめ直して、やっぱりピアノを弾きたいという結論に達したのなら、「君の願望に対してその態度は適切なの?」と問いかけてみます。練習しない、態度が悪い、という生徒に対して腹が立ってしまうこともありますが、一度冷静になり、本人の願望にしっかり向き合ってみてはいかがでしょうか。(中村 孝治先生/ゲスト)

「新しい生活様式」でのレッスンが試行錯誤でスタートしています。小さな気づき、失敗談、試行錯誤を含めた多くの情報・体験談をお寄せいただき、先生方お一人ごとのレッスンをカスタマイズするサポートができればと願っています。「生徒に寄り添って、今できる、私なりの指導」を皆様と一緒に模索していきます。注)各事例を「推奨」するものではありません。また、各記事はその時点の状況です。

情報提供・協力者を募集中です。小さなこと、些細な気づきや経験こそ、是非お寄せください!

アンケートフォームはこちら
調査・研究へのご支援