夏休み特別キッズプログラムレポート2020
2020年の夏は、例年地区予選や全国大会会場を賑わせていた、子どもたちの姿を見ることができませんでした。その子たちにも、忘れられない夏休みの記憶を作りたい―そんな想いで、「夏休み特別キッズプログラム」を企画しました。自宅から全国大会のライブ配信を視聴し、憧れのお兄さん・お姉さんへお手紙を書こう!というものです。
4歳から17歳までの子どもたちが、たくさんの熱い想いをのせたお手紙を送ってくださいました。そして、演奏を終えたファイナリストたちは、1人1人のお手紙に目を通し、それぞれに直筆お返事を書いてくださいました。ファイナリストたちとキッズたちとの、感動の交流を振り返ります。
8/3の特級二次予選から配信された本番やインタビュー動画を見て、「この人の演奏が好き」「この人を応援したい!」と、ファイナルの開演前から、応援のお手紙が届きはじめました。配信ならでは、イタリア在住の女の子からの投稿も。
- 学校の宿題そっちのけで今日のセミファイナルを見ていました。ファイナルがんばってください。(9歳)
キッズたちがそれぞれの年齢やピアノ学習の目線から熱い視線を投げかけ、「自分の感じたことを、どう表せばいいのか」を一生懸命考えてくれたことが、文面からにじみ出ています。
- わたしは、森本さんのえんそうの1音目でかんどうしました。ファイナルのラフマニノフの3ばんのイメージは、雪あらしだと思いました。だい2がくしょうでは、ロシアのそうだいなけしきがめにうかぶようでした。(7歳)
- 大きな音を出す時に、体も一緒に動いて表現している所や、弾いている時に顔の表情が豊かになる所が好きです。(13歳)
- 第1次予選提出動画を聴いた時、カミナリに打たれたような衝撃がありました。それから谷さんの大ファンになりました。(10歳)
- 森本さんのえんそうをきいて、物語を読んでいる気持ちになりました。ここはたたかっているのかな。ここはせつないのかな?といろいろなことを想ぞうして、心が大へんでした。とてもすてきでした。これからもがんばってください。おうえんしてます。(小3)
- 私は今までピアノ協奏曲っておごそかな感じなんだろうなーとイメージしていましたが、そんなことなくて、おもしろくて、たのしいものでした。(13歳)
- インタビューでラフマニノフについて、この曲からエネルギーをもらっているとおっしゃっていましたが、私も尾城さんのラフマニノフから希望や元気をもらいました。私は今年受験です。もし行き詰ったら、尾城さんの演奏を聴いて力を出します。そしていつか尾城さんの前で演奏できるように頑張ります。(14歳)
- 色々な方のピアノを聴いて、音色の違いなどを楽しんでいました。同じピアノなのに、同じ今日なのに、こんなに違いがあるんだ!と毎回嬉しそうに視聴していました。(10歳・母)
受け取ったお手紙は、演奏者へ画像ですぐにお届けしました。演奏者たちは、1人1人のお手紙を読み、内容に沿った、素敵な人柄あふれるお返事を熱心に書いてくださいました。それは、子どもたちの熱い想いが届いたから、そして何年か前の自分の姿を投影し、「嬉しい」「励ましたい」という気持ちになったからではないでしょうか。
- まだ、ファイナルの余韻が残っていて、何度も何度も、聞き返しています。(12歳)
- 知らない曲にも沢山出会いました。ファイナルの日は学校でしたが学校でも1日楽しみでたまりませんでした。急いで帰宅して画面の前でヘッドフォンして聴きました。(小4)
- 私と5歳しか変わらないのに、そんなダイナミックな弾き方で、しかも繊細で、若々しさもある素敵な、とても惹かれる演奏でした。谷さんの見た目に勝るとも劣らぬ格好のよさでした!私は今回、谷さんの演奏で、初めて音楽を聴いて涙が出ました。私はこの夏を、あなたを、あなたの音楽を忘れません!(小6)
- 森本さんの迫力ある演奏をじぃーっとみた後は、指遣いの真似をしてピアノをかき鳴らしていました。(7歳・母)
- 会場へ聴きに行くことは出来ませんでしたが、TwitterやYouTubeで参加者の方のインタビューなどを一緒に見ているうちに、参加者の人と手紙を通して繋がれたら、思い出になり、練習の励みにもなるのではないかと思い書かせていただきました。(9歳・母)
- まだ未就学なので普段ホールでピアノ協奏曲などは年齢的にも聴けないし、オーケストラの世界に興味を持ってもらうにはとても良い機会だったと思います。(4歳・母)
- 山縣さんのショパン、大好きすぎて勉強中に流しています!この夏は私にとって小学校最後の夏で、旅行に行けなくなったりしましたが、山縣さんの演奏でその残念な気持ちもきれいにはがされました。小学校最後の夏が最高の夏になりました。(小6)
- 憧れの森本さんからの返事が届いて、夢のような気分で胸がいっぱいです。手紙を送って、読んでもらえて本当に良かったです。この頂いた手紙は、今日から私の宝物です。(14歳)
- お返事をもらった瞬間、飛び跳ねて喜んでいました。お返事を額縁に飾っています。(小3)
- 私はピアノが大好きです。弾くのも聴くのも大好きです。だから、私にとってのピティナは自分も演奏出来るし、大きい人たちの演奏も聴ける最高の場所です。なので今年、楽しみにしていたピティナが無くて悲しくて、ちょっと泣いてしまいました。でも憧れの特級に参加されていた人たちの演奏を一次から聴く事ができたのは、とても嬉しかったです。特級に出ている人たちは、私が将来弾きたい憧れの曲をたくさん弾いていました。みんな、かっこよかったです!今回特級ファイナルを聴き、すごさに興奮して手紙を書きました。手紙を読んでいただけるだけでも嬉しいのに、お返事までいただいて嬉しくてびっくりです。この手紙、大切にします。そして、いつかみなさんと同じ舞台に立てるように、一生懸命練習します!この夏、これが私にとっての新しい夢になりました。(12歳)
- 素晴らしいピアニストの方からのお手紙はこんなに嬉しいことなんだ、ということを実感しました。このお手紙を励みに改めてこれからも頑張っていこうという気持ちになりました。(16歳)
- 「やったーーー!」写真や動画で見る遠い存在の方からのお手紙に、娘は飛びついていました。そして、じっくり噛み締めながら読んでいました。娘同様、手に汗握ってファイナルを見ていた私も嬉しくて叫んでしまいました。今年の夏は、あらゆる事を制限された子どもたち。さみしい夏になるかと思っていましたが、ファイルをリアルタイムで感じられた事、最後の最後でお手紙をいただいたことが、いつにない貴重な体験だったと思います。いただいた手紙は、大事にファイルに挟んでいつでも見れるようにしている娘。これからもそんな子どもたちを、応援していきたいと思います。ステキな最高の夏をありがとうございました。(10歳・母)
- 尾城さんは、私にとってスーパースターなので、尾城さんからのお手紙とても嬉しくて、何度も何度も読みました。お忙しいのに、一人一人に直筆のお手紙をくださる温かい方だからこそ、あのような素敵な演奏ができるのだなと思いました。早速コンクールのときに持って行って力をいただきました!これからも本番のたびに持って行って宝物にします。また、受験の応援もしていただいて、より頑張ろうと思えました。今も毎日尾城さんの演奏を聴いています。尾城さんはきっと世界で活躍するピアニストになると思います!これからも応援させていただきます。私も、尾城さんのような人の心を動かせるピアニストになれるように努力します。(14歳)
「お手紙を書く」―それが、書く側にも受け取る側にもこんなにも大きな励ましの力を与えるのだということを、ひしひしと感じました。キッズたちはこの企画を通して、「お手紙を書くために、一生懸命に演奏を聴く」「感じたことを、自分の言葉で相手に伝える」という、とても難しいことを、「憧れの〇〇さんに伝えたい」という一心で、成し遂げました。そして、「お返事」という形で返ってくることで、「自分の想いが伝わった」ことを感じることができました。
もらったお手紙を飾り、憧れの先輩のようになりたい、一緒にピアノをがんばりたい、と一層ピアノへの熱が高まったという声をたくさん聞きました。演奏者の方も、自分の演奏が、後を追ってくる子供たちの胸にどう響いたのかを、子どもたち自身の言葉で感じることができたことは、今後の演奏活動での大きな支えとなるのではないかと思います。
この夏の交流が、子どもたち、演奏者たち、双方にとって、かけがえのない宝物となることを願っています。お手紙、お返事を書いてくださった皆さまに心より感謝します。