テーマ型情報交換会レポート:発表会・弾きあい会を考える
新しい生活様式・新しいレッスンスタイル
「新しい生活様式」のレッスンが求められる中、感染予防対策を実施しつつ、対面とオンラインの特性を生かしたレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
開催レポート:会員情報交換会 発表会・弾きあい会を考える
2020年7月14日(火)、オンラインにて会員向け情報交換会を実施し、全国各地から14名の先生方にご参加いただきました。今回のテーマは「発表会・弾きあい会」。新型コロナウイルスの感染拡大により多くのイベントが中止になり、ピアノ指導の現場にも大きな影響が出ています。今回の情報交換会では新しい形式での発表の場や、感染症対策と両立したイベント開催など、先生方の様々な工夫とアイディアを共有していただきました。今回はその一部をQ&A形式でご紹介します。
コロナ対策をしながらの発表会開催について
今後ホールで発表会を開催するにあたり、感染症対策等どのようにすればよいでしょうか?
- 8月に合同で発表会を控えています。少人数ごとに部をわけて換気を徹底しようと考えています。(古津 智子先生/大阪)
- 私は7月初旬に発表会を実施しました。花束の受け渡しを控えたため、余韻を楽しむ間もなく終演となってしまいましたが、開催時間も短くなり、小さいお子さんにとってはむしろ負担が軽かったようです。集合写真は密になってしまうので今年は撮らず、お一人ずつの演奏写真のみを記念品としてお渡ししました。(入江 範子先生/滋賀)
- 私は今年の12月に実施予定です。ホール側から提示されたガイドラインには、会場でのプログラムの配布を制限するという記載がありました。また、マイクが使えずステージ上での講師挨拶は難しそうなので、プログラムに文章で掲載しようと考えています。(木下 順子先生/福岡)
3密回避と両立できるアンサンブルについてアイディアがあれば教えてください。
- 舞台の4隅に散らばったり、舞台の下に降りてしまうのはいかがでしょうか?生徒さんに鈴やタンバリンなどを持参してもらい、自席で参加してもらう形でも楽しめそうです。(本間 由紀先生/千葉)
オンラインでの発表会や弾きあい会について
- 生徒のモチベーションを保つために、オンラインでの弾きあい会を構想中です。テーマを決めて演奏、録画をし、それをYouTubeにアップロードしてみんなで聴くという形式を考えています。(中前 浩子先生/千葉)
- 生徒をいくつかのグループに分け、Zoomを使って2回ほど弾きあい会をやってみました。また、演奏をYouTubeの限定公開でアップロードし、教室内で紹介、聴いた感想を送ってもらうということもしています。感じたことを言語化することはとても勉強になりますし、感想を書くために何度も演奏を聴いたり、楽譜を読み込むことも増えたので、ぐっと力がついたと思います。(本間 由紀先生/千葉)
- 地元で感染者が出たことを機に、ホールでの発表会を中止し、オンラインに切り替えました。具体的には、自宅で仕上げた曲を撮影してもらい、その動画にコメントのテロップをつけ、発表会をやるはずだった時刻にYouTubeプレミアという形で配信しました。(坂 かず先生/千葉)
発表会への向き合い方
年齢が上がるにつれて、発表会が負担になってくるケースも増えてきました。そのような生徒さんにはどのように対応していけばよろしいでしょうか?
- 「誰のための発表会か」を考えると、参加してくれた人が良かったと思えることが一番大事だと思います。ご家庭によって事情は様々なので、参加は強制ではなく、生徒さんのご希望をよく聞いた上で、こちらの提案にご賛同いただける方のみでも良いのではないでしょうか。(上野 弥生先生/神奈川)
- 生徒に「この曲を人前で発表したい」と思ってもらえるように指導することを心がけています。ステージの必要性は体験レッスンの時に全員に説明していますが、どうしても発表会に出たくないという生徒さんに対しては無理に参加を勧めません。(中前 浩子先生/千葉)
- 私の教室は人数も少ないのでしばらく発表会は実施していません。人前に出ることが苦手な方や自分のペースで進めたい方など、発表会がないことを魅力に感じて入会する生徒もいます。(西森 有里先生/東京)
発表会を開催すると、他の生徒と完成度や進度を比べて落ち込んでしまう保護者がいます。どんなサポートをすればよいでしょうか?
- どうしてあの子は上手いのか?というのを親子で考えてもらうようにしています。他人と比べること自体が悪いことではなく、上手になった理由を考えることでいい方向に進んでいくと思います。(本間 由紀先生/千葉)
プログラムの順番の決め方
発表会のプログラムの順番はどのように決めていますか?
- 学年ごとに誕生日順か50音順で決めています。(本間 由紀先生/千葉)
- 私は曲によって決めています。静かな曲と動きのある曲を上手に組み合わせることで、聴衆にプログラムの抑揚を楽しんでもらっています。また、プログラムのトップバッターは会全体の空気を作る名誉のあるポジションということで、ある程度キャリアがある生徒を選んでいます。(木下 順子先生/福岡)
対面レッスンでの感染防止策について
対面レッスンを再開しましたが、感染防止策はどのようにしていますか?
- レッスンが終わるごとに鍵盤を電気分解水で拭いています。もともとレッスンの間は5分程度あけて時間割を組んでいたので、その間に換気をしています。電車を使ってくる生徒さんには未だにオンラインを継続しています。(中前 浩子先生/千葉)
- 生徒さん同士が顔を合わせることがないようにレッスンの間を15分ずつあけて時間割を組みました。サーキュレーターも取り入れました。私の住んでいる地域では自治体から補助金も出るみたいです。(岡本 雅子先生/兵庫)
「新しい生活様式」でのレッスンが試行錯誤でスタートしています。小さな気づき、失敗談、試行錯誤を含めた多くの情報・体験談をお寄せいただき、先生方お一人ごとのレッスンをカスタマイズするサポートができればと願っています。「生徒に寄り添って、今できる、私なりの指導」を皆様と一緒に模索していきます。注)各事例を「推奨」するものではありません。また、各記事はその時点の状況です。
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