ピティナ調査・研究

Vol.9 多様な教材を使ったソルフェージュのグループレッスン (オンラインレッスンレポート)

オンラインレッスンレポート
新型コロナウイルス感染症拡大抑止のため、各地で対面レッスンを自粛し、オンラインでのレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
Vol.9 多様な教材を使ったソルフェージュのグループレッスン/二本柳奈津子先生(正会員/大阪府豊中市)
レッスン方法 zoom(リアルタイム)
使用機材 指導者:Windowsパソコン/生徒:タブレット、またはスマートフォン、カード教材、地図、音源、ホワイトボード
生徒さんの対象年齢 年中~中学3年生
形式 ソルフェージュグループレッスン、約25名(自由参加)、平日毎日60分間(9:30~10:30)

生活のリズムを作る+オンラインならではの付加価値を

多くの生徒さんたちが休校の中で生活リズムが乱れていることを知り、「私に出来ることをしなくては!」と奮い立ちました。また、レッスンを全面的にオンラインに切り替えるにあたり、オンラインに対する抵抗感を少なくしてもらえるように、さらに教室経営者の立場としてオンラインレッスンならではの付加価値を提供したいとも考えましたので、このグループレッスンは無料で実施しています。重野美樹先生のソルフェージュグループレッスンに関するオンラインセミナーを受講したこともとても刺激になっています。

レッスンの様子
セッティング
進行方法
  • 60分間、生徒が飽きないように構成をしています。
  • 前半は幼少の生徒も親しめる内容後半は難易度を上げていき、小さい子には「難しい内容になったら聞いているだけでも良いよ」と伝えてあります。
  • 間が出来てしまうと、子供の集中力や興味がそがれてしまうため、テンポよく行うことを心掛けています。使う教材類はすぐ出せるように並べておきます。カード類も順番が狂っていないように毎回入念にチェックしています。
  • 内容は指のトレーニング、音程、聴音、理論、作曲家、音楽鑑賞、地理など、音楽から派生すること、子どもたちの興味の向くことはなんでも盛り込んでいます。画面越しに見て分かる視覚教材もふんだんに用意しています。
こんなことも……
  • 作曲家のエピソードに触れたときに子どもたちがとても興味を持ちました。その日は音源の準備をしていなかったので、咄嗟に私の口三味線で代表曲を伝えました。翌日はもっとよい音源を聴かせたいと、YouTubeで時代順に作曲家プレイリストを作り、パソコンの横にiPadを置きiPadから音源を流したものの「きこえませーーん」と言われガッカリ。その後zoomを触って色々研究し、今では音源共有もしながら進めることができています。
ショパンの生まれた国はどこかな?塗ってみよう!
生徒さん・保護者の声
  • このような未曾有の事態がなければ、毎朝先生にお会いする事もなかったですし、音楽の基礎をじっくりと繰り返し学ぶ時間もなかったと思います。娘は教えていただいたことを復習するようになり、楽譜をひらいた時に「あ、○○の国の人だ、時代は…」と嬉しそうで、演奏へのモチベーションも上がっています。先生の問いに答えるために、手作りの一覧表を横に置いて開始時間前にiPadの前にチョコンと座っている姿は、見ていてとても微笑ましいです。
  • 朝9:30開始というのがまず大きな魅力です。朝リズムに乗れると、その日一日が元気な実りあるものになります。最初、勉強は嫌だとダダをこねていた5歳の息子も、回を重ねる度にぐいぐい食い付いて画面に身を乗り出しています。幼児から大人まで楽しめること、子供達に難しいと感じさせないように、様々な声かけをして下さること、気付かないうちに確実に日に日にレベルアップさせてくださることなど、たくさんの魅力の詰まった1時間です。
  • 朝から先生や他の生徒さんたちと会えることで気分も引き締まり、朝の弱い娘もスッと起きて画面の前に座ることが日課になりました。毎日教わった豆知識などを嬉しそうに話してくれます。ストレスの多い生活の中、音楽を通じて困難を乗り越え楽しんでいく事を教えていただいて、親として本当に感謝しております。
最後に

グループレッスンを「ドレミクラブ」と称して、若かりし日からずっと月に1回、公民館を借りてグループレッスンをおこなっておりました。近年忙しさと子供たちのスケジュール調整が難しく実施が滞っておりましたが、今回zoomというグループミーティングアプリと出会えたおかげで容易に実施が可能になりました。長年行っていた「ドレミクラブ」のノウハウがとても役立ちつつ、zoomの機能も生かし、現代っ子に即した内容を盛り込みながら実施しています。

私自身、様々なイベントが中止になり、気持ちが落ち込み気味でしたが、毎日ドレミクラブを実施するようになり、生活に張り合いが出来ました。子供たちのキラキラした瞳に毎朝出会えるという十分すぎるほどのご褒美にやりがいを感じております。

今月末まで緊急事態宣言が延長になりました。生徒達にも「学校が休校の限り、奈津子先生が毎朝みんなの学校になるよ」と伝えています。

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