ピティナ調査・研究

Vol.11 私のオンライン便利グッズ(オンラインレッスンレポート)

オンラインレッスンレポート
新型コロナウイルス感染症拡大抑止のため、各地で対面レッスンを自粛し、オンラインでのレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
Vol.11 私のオンライン便利グッズ/二俣裕美子先生(指導会員/東京都文京区)
レッスン方法 Zoom(リアルタイム)/補助教材として、伴奏を録音してLINEまたはメールで送信
使用機材、グッズ 先生側:ノートパソコン、パワーポイント、パペット、フリクションペン、透明封筒など
生徒側:鉛筆、赤鉛筆(注意を書き込む)、好きなシール(気を付ける所に貼る)
生徒さんの対象年齢 幼児~大人
設置
  • ピアノのすぐ横に椅子を置き、台の上にノートパソコンを乗せています。
  • 基本は自分の顔と鍵盤が映る位置楽譜を見せたい時は楽譜を持ってカメラに提示し、手元を映して説明したい時はパソコンを膝の上に乗せ、鍵盤上を映します。
基本セッティング
PC楽譜で説明全体
準備
  • 子どものお稽古で使うのと同じ楽譜を手元に準備、付箋を貼っておきます。一緒に見ている安心感が与えられ、一緒に付箋を貼ったり動かしたりできる楽しさもあります。
便利グッズ
① DMなどが入っている透明封筒に赤マジックで枠線を書いたもの
  • 楽譜で1音を囲むサイズ、1小節を囲むサイズ、2小節サイズに赤いマジックで枠線を書き、切り離しておきます。
  • 楽譜の読ませたい音に重ねて動かして、子どもと一緒に読んだり、説明したりしています。どこを読むかがはっきりと分かるので、対面レッスンでも取り入れたいくらい便利です。
一音ずつ囲んで示す時
一小節ずつ囲んで示す時
② フリクションの消えるペン
  • 子どもに説明する時に、自分の手持ちの楽譜に書き込んでも消すことができます。
③ ノートパソコン
  • 見せたいところに角度を合わせたり、手軽に動かせるので便利です。
  • 次の④⑤のようなパワーポイントや画面共有ツールを使用する時にも便利です。
④ パワーポイント
  • デスクトップに、お稽古で使いたいパワーポイントなどをあらかじめ開いておき、「共有画面」で再生しながら読み聞かせたり、一緒に歌ったりできます。
  • 文字や色音符を一つずつ提示できるので、対面レッスンでは注意がそれやすいお子さんにもわかりやすいようで、よく見てくれます。
⑤ Zoomの画面共有ツール
  • 画面共有ツールでは、コメントを書き込めるので、MuseScoreで作成した楽譜のお稽古の時には、線や枠、文字を書き込んだり動かして説明できるのも便利です。
⑥ パペット
  • 障害のあるお子さんのレッスンでは、日頃から人気のパペットも登場させたりして楽しく盛り上げています。
⑦ 濃い色の服
  • 指や手の形、パペットなど教材を提示するとき、濃いグレーや紺、黒の服だと見やすいです。
濃い色の服パペット
Zoomの音の問題の改善

音質、音の余韻の途切れやタイムラグに関しては、Zoomの音声の詳細設定をいくつか変更したところ、だいぶ改善されました。

① 「設定画面>オーディオ」の設定画面
  • 「マイク音量を自動調整します」のチェックをはずす
  • 表示がある場合は「ステレオを有効にする」にチェック
② 「設定画面>オーディオ>詳細(右下ボタン)」
  • 左上の「インミーティングオプションをマイクから“オリジナルサウンドを有効にする”に表示」にチェック
    ※「オリジナルサウンド」とは加工していない音のことで、ピアノや楽器の音が自然に聞こえます
  • 「オーディオ処理」の上2つ(背景雑音の抑制)を「無効化」にする
③ ミーティング中の画面の左上の設定
  • 「オリジナル・サウンドをオフにする」と表示されている(=オリジナルサウンドになっている)ことを確認。されていなければクリック。
  • その右の小さな矢印を押して「内蔵マイク」の横にチェックが入っていたらはずす
レッスン時間、内容、お月謝
  • 対面レッスンと同じです。
  • 発達障害のある生徒さんには、紙で出していた教材をパワーポイントで提示するようにしました。ピアノ以外に使っていたタンバリンやシェーカー、カバサなどの楽器活動も、工夫してできるようになってきました。
失敗談
  • 音が聞こえないよ〜?という時、こちらのPCにイヤホンが刺さっていてごめんなさい〜ということがありました。
発見
  • お互いに安心して顔が合わせられて、思った以上に充実のお稽古ができているので、オンラインにしてよかったと思います。
  • コロナ以前に、お母様の体調やスケジュールのために来室も出張も難しくなってしまっていた生徒さんのお稽古を、オンラインで再開することができました。
  • 伴奏をする場合、タイムラグを頭の中で想定しながら、こちらはテンポを変えずに弾くなど工夫しています。
  • テレワークのお父様にもお稽古の様子をご覧いただくことができ、お子さんの頑張る一面をご覧いただけたり、ご家族みんなで楽しんで喜んでいただけているのが嬉しいです。
  • 発達障害のあるお子さんへのレッスンでは、対面の時より集中して画面を見てくれて模倣活動ができたりと、嬉しい発見もありました。一方で、一緒にピアノを弾いたり即時的な声かけなどで関係を維持している部分が大きかったので、タイムラグによってそれができないのはかなり痛手です。いかに注意を向け楽しくお稽古できるか、オンラインならではの工夫を模索中です。皆さんの工夫をお聞きしたいです。

「新しい生活様式」でのレッスンが試行錯誤でスタートしています。小さな気づき、失敗談、試行錯誤を含めた多くの情報・体験談をお寄せいただき、先生方お一人ごとのレッスンをカスタマイズするサポートができればと願っています。「生徒に寄り添って、今できる、私なりの指導」を皆様と一緒に模索していきます。注)各事例を「推奨」するものではありません。また、各記事はその時点の状況です。

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