U35会員交流会レポート:みんなの奮闘Q&A Part1
オンラインレッスンレポート
新型コロナウイルス感染症拡大抑止のため、各地で対面レッスンを自粛し、オンラインでのレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
U35会員交流会開催レポート
みんなの奮闘Q&A Part1
緊急事態宣言が延長される中、2020年5月6日(水)、7日(木)に「U35のための会員交流会」をオンラインで実施し、両日合わせて39名の若手指導者・演奏家にご参加いただきました。ゲストスピーカーには永瀬礼佳先生(さいたま音の葉ステーション代表、コンペ課題曲選定委員)塚田めぐみ先生(中野歌のステーション代表)のお二人をお迎えし、コロナ禍でのレッスンの現状をお話しいただきました。会の後半には参加者同士による情報交換を行い、この時期を乗り越える素敵なアイデアがたくさん飛び出しましたので、その一部をご紹介します。
オンラインレッスンで使っているツールについて
オンラインでのピアノやリトミックのレッスンでお勧めのアプリはありますか?みなさんがお使いのデバイスも教えてください。
- アップル社製品を持っている生徒とはFaceTimeを使っています。その他にもZoom、セキュリティが心配という人は、スカイプです。LINEのビデオ通話も試してみましたが、音が途切れることがあるのであまり使っていません。(白水舞子先生/福岡)
- リトミックではZoomを使っています。グループレッスンをするときに音がずれることが気になるなら、生徒側のマイクを切ってもらうのも一つの手かもしれません。(塚田めぐみ先生/東京)
- Zoomアカデミーというwebサイト(https://zoomy.info/)にZoomの使い方が載っています。スマートフォンで接続したときに画面に映る人数などもわかります。(永瀬礼佳先生/埼玉)
- 色々と試した結果、今はPC×Zoomの組みあわせで安定しています。オンラインレッスンのために新しい設備を整えようと思うと大変ですし、あれもやろうこれもやろうと過剰に盛り込みすぎないように気をつけています。(野澤加奈枝先生/東京)
オンラインレッスンでの撮影について
生徒さんにはスマホorタブレットをどこに置いてもらうのがよいでしょうか?
- 2台ピアノが並んだような構図になるように配置してもらっています。とはいえスタンドや三脚の準備が間に合わないご家庭も多いので、できる範囲でお願いしています。(宮田朝葵先生/兵庫)
- 鍵盤の端に立てかけてもらうケースが多いです。斜め後からのアングルも良かったです。高さを上手く調節するのが難しいですが…。(佐藤菜生子先生/宮城)
- スマホとタブレット2台持ちのご家庭がけっこう多いので、2台ともZoomをインストールしてもらっています。1台を生徒の姿が見える位置に(撮る専用)、もう1台をピアノの上に(先生の指導や動画共有を見る専用)に使い分けてもらっています。(兵頭愛美先生/神奈川)
- 洗濯ばさみ2つを使って挟むとスマホスタンドになりますよ!(丸山絢子先生/茨城)
オンラインレッスンでのお悩み
引っ越しをしたばかりで、手元に十分な楽譜がありません。生徒さんとの楽譜確認についてどうしていますか?
- PiaScoreというサービスを使っています。Zoomで共有できるし、著作権が切れているものについては無料でダウンロードもできるのでおススメです。(永瀬礼佳先生/埼玉)
マルをつける基準など、普段とは違う環境の中でどう対応していますか?
- 正直なところ、オンラインレッスンで音の追及は難しいです。意識を切り替え、「表現を極めるのではなく、たくさんの曲を勉強する期間」としています。音、リズム、最低限のテクニックができていたらそれで合格!テンションを上げて、次の曲へどんどん促しています。(永瀬礼佳先生/埼玉)
オンラインレッスンの料金設定
オンラインレッスンのお月謝の設定に迷っています。
- 別途料金設定をした:4人
通常と同じお月謝:11人 - 音質が悪かったり、動きと音がずれてしまったり、いつもと同じ指導の質が保てていないように感じるので、少しお月謝を下げています。(兵頭愛美先生/神奈川)
- 私は通常のお月謝をいただいています。以前、自分が受けていた大学の先生のオンラインレッスンも通常謝礼を払っていましたし、そのレッスンで十分学びを得られたので、いただく側になっても同じにしています。(大平桂子先生/群馬)
- 私もオンラインでも同じ月謝にしていますが、値段以上のサービスを提供しようという意気込みで入念にレッスン準備をしています。(中村孝治先生/福岡)
オンライン化に消極的な生徒さんへの声がけ
機械に疎い方や、Zoomのセキュリティが不安な方など、オンラインレッスンへのハードルが高い生徒もいます。どのように声がけしたらいいでしょうか。
- まずは「お顔を見たいので気軽にお話しましょう!」と促して一度体験してもらっています。(塚田めぐみ先生/東京)
大人の生徒さん向けにオンライン定例会を考えています。内容や、お誘いの仕方どうしていますか?あまりこちらからたくさん連絡をしても、余計なお世話と思われてしまわないか心配で…。
- 一斉メールを送って、参加希望者だけお返事くださいとお伝えしました。2回ほど開催しましたが、音を出さなくてもできる学習や、音楽関連の書籍を紹介してもらいました。(塚田めぐみ先生/東京)
うちの教室では働いているお母さんが多く、オンラインに移行すると接続など、親御さんの負担が大きくなってしまうのでは…と躊躇してしまいます
- オンラインでもいつもと同じ曜日・時間にレッスンを設定しています。働くお母さんでも、移動や送迎がないぶん時間に余裕が生まれることもあるようです。いつもレッスンに来て下さる方ならば、その時間に打診してみてはいかがでしょうか。(塚田めぐみ先生/東京)
- お子さんはお母さんのスマホを使うことが多いです。最初は親御さんと一緒にレッスンを受けていますが、操作に慣れてきたら子供だけでレッスンすることもあります。(大平桂子先生/群馬)
- 中高生以上なら保護者のサポートがなくても大丈夫です。私の教室ではLINEの公式アカウントに動画を送ってもらっています。LINEを普段から使っている中高生にとっては使いやすいツールのようです。(渋谷藍香先生/北海道)
課題曲チャレンジへの申し込みをためらっている生徒もいます。どのようにお誘いするとよいでしょうか?
- 例年のコンペは参加料以外の出費も多いのですが、この企画は動画を出すだけ、誰でも参加できるのでとてもお得感があります。あとは今回、年齢制限がないことも魅力だと思います。ピアノを始めたばかりの小学校5年生がA1級に参加することだってできるんですよ。しかも落ちることが無いのでコンクールは怖いという子にも勧めやすい。このようなメリットをどう伝えたら保護者が納得するかを想像して、プレゼンテーションするつもりで話しています。(野澤加奈枝先生/東京)
- 何かしらの目標があるかないかでは、過ごし方が違ってきます。課題曲チャレンジという目標があるだけで、毎日が確実に充実しますよ、と伝えてみたらいかがでしょうか?(永瀬礼佳先生/埼玉)
入会希望のお問い合わせについて
年度の変わり目なので、入会のお問い合わせもあるのですが、どうしましょう?
- 最初からオンラインレッスンのご案内をしています。うちの教室にも4月に入会した生徒がいますが、オンラインレッスンのみで1冊テキストが終わりました。リズム、音符、鍵盤位置が分かれば対面レッスンをしなくても自分で弾けるようになります。(永瀬礼佳先生/埼玉)
- 体験レッスンも全てオンラインにしており、Webサイトにもその旨を記載しました。私の教室でもオンライン化してから入会した生徒がすでに自分で音が読めるほどに成長しました。(野澤加奈枝先生/東京)
コロナ終息後のオンラインレッスン続行の可能性
この先もオンラインレッスンを考えている方いらっしゃいますか?
- オンラインになって今まで以上に練習する生徒が出てきています。むしろオンラインの方が向いているのでは、と感じる生徒さえいます。コロナが終息した後も、オンラインレッスンは続くのではないでしょうか。(中村孝治先生/福岡)
- 私は普段はドイツに住んでおり、今は岡山からドイツの生徒にオンラインレッスンをしています。最近は日本でもレッスンを始めているのですが、自分の移動が難しいときには、今後もオンラインレッスンを活用していきたいと思っています。(梅村知世先生/岡山)
- 親御さんの都合で送迎が難しい場合や体調がすぐれないときなど、オンラインレッスンを活用していきたいです。(田中里未子先生/広島)
対面レッスンの再開について
いつから対面レッスンを再開するか迷っています。みなさんのお住まいの地域はどのような状況ですか?
- 茨城県は関東圏の中では比較的落ち着いていますが、市内で感染者が出ると警戒感が高まります。東京が近いので5月末まではオンラインになりそうです。(丸山絢子先生/茨城)
- 換気・消毒などの対策を徹底した上で、学校が再開すれば対面レッスンを再開しようと思っています。(川原綾先生/兵庫)
「新しい生活様式」でのレッスンが試行錯誤でスタートしています。小さな気づき、失敗談、試行錯誤を含めた多くの情報・体験談をお寄せいただき、先生方お一人ごとのレッスンをカスタマイズするサポートができればと願っています。「生徒に寄り添って、今できる、私なりの指導」を皆様と一緒に模索していきます。注)各事例を「推奨」するものではありません。また、各記事はその時点の状況です。
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