ピティナ調査・研究

Vol.8 生徒の環境やレベルによってサービスや機材を選択(オンラインレッスンレポート)

オンラインレッスンレポート
新型コロナウイルス感染症拡大抑止のため、各地で対面レッスンを自粛し、オンラインでのレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
Vol.8 生徒の環境やレベルによってサービスや機材を選択/味埜裕子先生(正会員/東京都大田区)
レッスン方法 YouTubeで動画送信→後からコメント, LINEビデオ通話, Zoom, Skype, Facetime, Google Duo(リアルタイム)
使用機材 パソコン、iPad、三脚、台、スピーカー、コンデンサーマイク、ホワイトボード
事前準備
  • オンラインレッスンは初めての生徒も多いので、こちらが多くのアプリに対応できるように準備して、生徒側に好きなものを選択してもらう。
  • レッスンの前に必ず生徒と接続テストをして、どこに機材を置けばいいかを一緒に考えたり、役に立つ機材を紹介したりする。
  • 通信状況や音質などの状況があまり良くない場合は他のアプリを紹介して、比較してどれを使うか決める。
レッスンの方法
  • 生徒と生徒の間に15分時間をあけている。生徒によってアプリが違うので、その準備のための時間、さらにオンラインレッスンは耳や目がかなり疲れるので、自分自身の休憩時間の確保のため。
  • 私自身は、生徒とのコミュニケーション用にパソコンを、鍵盤を写すカメラとしてiPadを使って2画面表示にしている。
  • 相手の声が聞きやすいように、音声はオーディオアンプを通して外付けのスピーカーから出すようにし、こちらの音を良い音質で相手に届けられるようにコンデンサーマイクを外付けで使っている。
  • レッスン中に通信状況や音質などの状況があまり良くない場合は、すぐに違うアプリに変えてみる。
生徒による使い分け
  • ネット環境に問題があってオンラインの通話が頻繁に途切れてレッスンには耐えられない場合は限定公開YouTubeに動画をアップしてもらい、それを私が見た上で、後でアドバイスしている。音がオンラインよりいいので、中、上級の生徒にはこちらの方が良い。レッスン時間は送ってもらった動画の演奏時間を引いた時間をオンラインでのアドバイスに当てる(音質の問題があるのでピアノを弾くレッスンは少なくして説明中心のレッスンにする。)
  • オンラインが使えない生徒にはアドバイスを書いたものをメールで送る、またはこちらがアドバイスを動画で撮り、限定公開YouTubeにアップする。
  • 生徒さんの保護者も研究熱心。レッスンごとに違うアプリで試し、どのアプリがいいかを選んでいる
発見したメリット

オンラインレッスンには、音質の問題や、直接触れて指導できない、強い音で弾くと音が割れてたいへん聞きづらくなるので本来の強い音では聞こえないことなどのデメリットがあるが、メリットもたくさんあることに気づかされた。
例えば、

  • 生徒は教師の説明、演奏を大変集中を持って聞くようになった。
  • 家族の協力が必要なのでお母さん、お父さんまで一緒にレッスンに参加しているようで生徒の励みになっている。
  • 生徒の練習環境、例えばどんな楽器を使っているか、足台はどうしているかなどや、普段の練習をしている時の姿勢もわかり、良かった。
  • 教師側は生徒側がよくわかるように、対面レッスンの時より話し方のスピード、話の内容を工夫するようになった。視覚ですぐ理解できるようにを見せたり、ホワイトボードに書いたりもしている。
最後に

この大変な時期で生徒自身もストレスを抱えているので、レッスンはなるべく楽しく、を対面レッスンの時以上に考えています。

「新しい生活様式」でのレッスンが試行錯誤でスタートしています。小さな気づき、失敗談、試行錯誤を含めた多くの情報・体験談をお寄せいただき、先生方お一人ごとのレッスンをカスタマイズするサポートができればと願っています。「生徒に寄り添って、今できる、私なりの指導」を皆様と一緒に模索していきます。注)各事例を「推奨」するものではありません。また、各記事はその時点の状況です。

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