ピティナ調査・研究

Vol.7 オンライン近況報告会で、生徒の心に寄り添う(オンラインレッスンレポート)

オンラインレッスンレポート
新型コロナウイルス感染症拡大抑止のため、各地で対面レッスンを自粛し、オンラインでのレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
Vol.7 オンライン近況報告会で、生徒の心に寄り添う/松本美和先生(指導会員/東京都北区)
レッスン方法 Zoom, LINEビデオ通話(リアルタイム)
使用機材 パソコン、ウェブカメラ

3年前、生徒さんがインフルエンザで「元気だけれど外には出られない」という状況をきっかけに、zoomでのレッスンを始めました。それ以来、生徒さんのご家族が病気の時や、グループレッスン、発表会で披露する手話の練習などにzoomレッスンを活用してきました。週に何度も通ったり集まるのは大変ですが、自宅から気軽に参加できてよかった、などの声をいただいていました。

機材の設置
  • レッスン室の環境としては、ピアノの譜面台の上にノートパソコン、ピアノ横からウェブカメラ、ピアノを真上から映すカメラを用意しています。長年オンラインレッスンをしているので機材が増えましたが、これから始める先生は、まずはピアノの上にタブレットを1台用意するだけで十分かもしれません。
  • 実際のレッスンでは、お話を聞いてほしい時は顔のアップで、手元を見せたい時は横のアングルにカメラを切り替えます。楽譜を見せたいときも、カメラの前に楽譜をアップで映せば十分伝わります。
  • LINEビデオでのレッスンの方がZoomよりも通信に容量が必要なようで、生徒さん宅のwifi環境に左右されるため、基本的にはZoomでのレッスンをお願いしています。
レッスン室の機材の配置
先生の顔を映す時
先生の手元を映す時
小さな生徒さんへの工夫
  • 小さな生徒さんはたくさん誘惑のある自宅での環境、どうしても集中力が途切れがちになりますね。ずっとピアノを弾くことにこだわらず、今日は何が楽しかった?と聞いてみたり、お手玉などで椅子から立って体を動かしたり、聴音をしてみたりと、対面のレッスンよりも多くの引き出しを用意して、生徒さんの状況を見て提案してみることも必要です。
オンラインでの近況報告会
  • これからオンラインレッスンを始めてみよう!というピアノの先生方には、まずは自宅にいる生徒さんたち同士での近況報告会をお勧めします。保護者の方が操作に慣れる機会にもなります。
  • 3月1日にオンラインでグループレッスンをやった時に、小学5年生の男の子が「やっとみんなで逢えた。突然学校に行けなくなってみんなに会えずに寂しかったから、こうやって顔を見て話せてうれしい」と言った言葉を聞いて、「一週間に一回、単純に近況報告会ができるだけでも、子どもたちにはいい時間になるのかもしれない」と思い、それから毎週時間を決めて20分くらい近況報告会を開いています。

内容としては、

今週一週間どんなことを頑張ったか?
「そんな自分に点数をつけるとしたら何点?」
今週どんなことを頑張ろうと思っているのか?」

を一人ずつ発表して、みんなに応援の拍手をもらいます。

近況報告会の様子
■ 保護者の方の感想より
  • zoomを使ってのピアノの報告会が定期的に行われることで、他のお子さんの練習の状況も知ることができ、『練習しなくちゃ』という意識に繋がっているようです。今、仲間とも直接会えないので、顔を見て話ができることが喜びにもなっているようで、とてもありがたいです。
  • 1週間毎の近況報告会があることで、次週の短期目標を自分で立てたり、振り返ったりできるのでよかったです。
  • 人前で自分の意見を言うことに少しずつ慣れてきて、自分でもそれが嬉しいみたいです。
  • 学校以外の先生や仲間から、新しいテーマのお話を聞けることが新鮮だったようです。特に、勉強を1日16時間しているお兄さんや羽生選手、コロナで先生の体力が低下したというお話、コロナでも前向きなことを探すお話など、興味深かったようです。

オンラインレッスンは保護者の方の理解と協力なしには成り立ちません。今までの子供の成長をともに認め合い、毎週積み上げてきたものを崩さないために、またいつもと違う環境で不安を感じている子どもや保護者の方のために、今できることを続けていきたいと思っています。

「新しい生活様式」でのレッスンが試行錯誤でスタートしています。小さな気づき、失敗談、試行錯誤を含めた多くの情報・体験談をお寄せいただき、先生方お一人ごとのレッスンをカスタマイズするサポートができればと願っています。「生徒に寄り添って、今できる、私なりの指導」を皆様と一緒に模索していきます。注)各事例を「推奨」するものではありません。また、各記事はその時点の状況です。

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