ピティナ調査・研究

受け継がれるグランプリ―菅原望さんが樋口あゆ子さんのFM横浜番組に出演

左より菅原望さん、高木裕氏、樋口あゆ子さん

2012年度特級グランプリとなった菅原望さんが、9月1日(土)18:45時放送のFM横浜に出演する。番組はピアニストの樋口あゆ子さんがパーソナリティを務める『Piano Winery-響きのクラシック-』。鮮やかな演奏と明るいトークが人気を集めている。

実は樋口さんは1993年度特級グランプリであり、アジアを始め海外でも演奏経験を積んできた方。そんな先輩が後輩を紹介して下さるということで、初めはやや緊張気味だった菅原さんも、樋口さんの朗らかなナビゲートで、リラックスした穏やかな口調で語り出した。セミファイナルでリストのソナタ、ファイナルでピアノ協奏曲2番(放送あり)を選んだ理由、リストに対する気持ちの変化、東日本大震災で出身地である仙台が被災したこと、その思いとこれからの抱負など、菅原さんの落ち着いた語り口の中に、ほのぼのとした親近感と謙虚さが伝わってくる。

そんな菅原さんの内なる情熱がほとばしる瞬間がある。この日、実は憧れのホロヴィッツ愛用のピアノで生演奏を収録したのである。曲はスクリャービン『2つの詩曲』Op.32-1。収録直前までこのピアノの存在を知らされていなかっただけに、菅原さんの感激もひとしお!「他にも何台か試してから決めていいですよ」という提案にも、「ぜひこれで弾かせて頂きたいです!」と、その音色に一気に惹きこまれた様子だった。

今回の収録場所で、このピアノを所蔵するタカギクラヴィア株式会社社長の高木裕氏によれば、これはホロヴィッツが晩年愛用したヴィンテージピアノ(1912年製・CD75)で、1983年初来日公演の際にロンドンから運ばれてきたもの。鍵盤から独特の香りと色気ある響きを放ち、世界中のピアニストが弾きたいと望むピアノである。

菅原さんは「この曲はホロヴィッツの録音が一番好き」というだけあり、一瞬一瞬を慈しむように鍵盤に触れ、繊細な響きを奏でている。

ぜひ9月1日の放送を楽しみにして頂きたい。